断捨離は人材育成!?

先般、三翠園では1回目の断捨離を行いました。断捨離とは、不要な物を「断ち」、「捨て」、モノへの執着から「離れる」ことをいいます。
私は、四国管財で5S活動に取り組んできましたが、ただ続けていくだけではマンネリ化してしまいます。そこで、5Sに取り組んでいる地元の異業種10社ほどで、運営組織をつくり、毎月、順繰りに仲間の会社を訪問していました。他社に取り組み状況を見られるというプレッシャーでマンネリ化を防止しようとしたのです。
ちなみに5S活動とは、職場環境の改善を目的にした活動のことで、5Sは、整理、整頓、清掃、清潔、しつけの5つをいいます。
私たちが運営組織をつくる際、手本にしたのは「一般社団法人 きらめく5S学校」です。これは、大阪の友人で、同業者の株式会社ベルの奥斗社長がつくり、自ら理事長となって運営している学校です。5Sの技術を教えるだけでなく、5S改善コーチを育てる学校でもあります。5Sを通して、自分と会社と社会をよりよく変える人材を育てることを目指している立派な学校です。

5S活動は、やればやるほど作業効率が高まり、事故も減ります。しかし、それだけではありません。社員さんが成長するきっかけにもなります。
いい事づくしの5S活動ですが、私たち三翠園はホテル業です。全員で時間を合わせ、事に当たるのは非常に困難です。そこで、事前に鎌田総支配人が要所の現場をすべて回り、「捨てる」「保留」シールを貼って歩きました。こうすれば、後は、運び出して業者さんに持って行ってもらうだけになります。断捨離の段取りは、総務課長の西川さんが引き受けてくれました。
断捨離で難しいのは、「捨てる」「捨てない」の判断です。捨てようと思っても、「また使うかもしれない」とか「将来、人が増えたら使うかもしれない」などと考え始めたら断捨離は止まってしまいます。そこで、使うかもしれない心配があるなら、1カ月待つシール、半年待つシール、1年待つシールを貼って、その期限が過ぎたら捨てるというルールにしました。それでも判断がつかない場合は、経営者が経営判断をします。

最近、三翠園では、よく経営判断という言葉を使っています。現場が判断に迷っている時間が長いほど、経営のスピードは遅くなります。ですから、現場が判断に迷う案件は、すべて経営者が責任を持って「これはやります」「これはやめます」と判断するようにしました。
社長に就任して、まだ3カ月ほどですが、すでにいろいろな経営判断を下してきました。例えばおせち料理です。これまでは、社員さんがお客さま宅を訪問して、直接お渡ししていましたが、温度管理などいろいろリスクがありますので、社員さんによる配達業務は取りやめにし、配達を希望するお客さまには、クール宅配便で配達することにしました。スーパーマーケットでの委託販売も取りやめにしました。正解が何かはわかりませんが、最善策を選ぶのが経営判断だと思います。
断捨離についても大胆な経営判断をしました。昔は、宴会といったら畳を敷きつめた部屋に、座卓、座椅子、座布団、肘掛けという組み合わせが定番でした。しかし、今は、畳の部屋でもテーブルとイスという組み合わせがほとんどです。畳に座ることは、よほどの宴席以外見かけなくなりました。
それなら、思い切って座卓、座椅子、座布団、肘掛けなどを捨ててしまおうと決めました。こうして、大量のモノを断捨離することができたのです。

この5S活動を推進していくと、社員さんは、自然に今まで気づかなかったことに気づくようになります。例えば、案内板は場当たり的に手書きでちょこちょこ修正していましたが、そうしたことが気持ち悪くなります。すると、自然発生的に、「これはパウチ加工で、きっちり作ろう」「いやいや、お客さまに恥ずかしいから作り直そう」という意見が出てくるようになります。実は、これが5Sの究極のゴールなのです。
いつも整理整頓ができていると、社員さんに「やる気」と「気づき」が生まれ、ひいては、自分で考え行動する「自立型人材」が育つようになります。5S活動は、単なる整理、整頓、清掃、清潔、しつけの活動ではなく、将来、会社を背負っていく人材を育成していく大切な活動なのだと思います。