日ごろ当社のスタッフがお世話になっているお客様を、せいちゃんマンこと中澤清一社長が訪問し、それぞれのお客様の業務内容の紹介やPRをさせていただくとともに当社へのアドバイスをいただくコーナー、「せいちゃんマンが行く? お客様訪問記」を始めることとなりました。 栄えある1回目は社会医療法人「近森会」様です。全国に先行して高齢化の進む高知県で、年間約7千件もの救急搬送を受け入れ、今や高知県全体の救急医療を支える、県民にとってなくてはならない近森病院を核とする近森会様は、創業54年の当社にとってもかれこれ40年以上にわたって長いお取引を頂いている大切なお客様で、多くのスタッフが多岐にわたる職種で生き生きと働かせていただいております。その近森会様の運営を支える事務方のトップであり、いつも当社のスタッフの働きもつぶさに見てくださっている、近森会常務理事であり管理部長の寺田文彦様にお話をお伺いしました。
第1回 社会医療法人 近森会 常務理事・管理部長 寺田 文彦様
様々なジャンルの蔵書の並ぶ本棚をバックに にこやかに話される寺田様
−せいちゃんマン まずは今回、私どもの社内報の新企画の第1回目にご登場いただき、ありがとうございます。近森会様には、長年大変にお世話になってきましたことも深く感謝申し上げます。さて今年から新院長に世代交代されたばかりの
近森病院様ですが、新院長の下、病院全体がさらなる改革に邁進されておられるところでしょうか。
寺田様 そうですね。この1、2年は組織も替わり、理事会の構成も替わりと、大変忙しかったですね。院長先生以下、副院長も、執行部3役も総替えとなりました。やはりトップが変わるというのは大変大きなことです。 30年ほど病院を引っ張り、ここまで大きくしてこられた前院長は今も理事長でおられますが、もはや過去の経済成長時代の成功体験は通じないと思われています。平成28年度は診療報酬の大きなマイナス改定があり、病院が本格的に淘汰される時代です。今は細かいマネージメントをしながら、それをしても収入が頭打ちで支出も調整しつつやらなくてはいけないという、非常に厳しい時代に医療界全体が入っているんです。
−せいちゃんマン 県民になくてはならない急性期病院としての役割を果たす近森会様は、救急だけでなく全ての分野でも最先端の設備を備え、屋上にはヘリポートもあって、近年は特に飛躍的に発展されてきましたよね。その多岐に及ぶ機能の中での基幹的なルールづくりを担われてきたのが寺田管理部長様だと認識しています。ここで寺田様ご自身のご経歴について少し教えていただけますか?
寺田様 はい。僕は、東京の大学を出てしばらく向こうで働いてまして、高知にUターンしてきました。以来、近森会に勤務して20年弱になります。近森会に入った当初は旧来の紙カルテから、オーダリングシステムに移行するための作業などを行うシステム管理室というところにいました。その後、近森リハビリテーション病院の事務長をしているときに、病院が、医療の質の向上を図るために学術的観点から評価する第三者機関である財団法人「日本医療機能評価機構」の審査を受けることとなりました。当時、近森病院の方が全国の病院で3番目、高知の病院では初めて同機構の認定をいただいておりましたので、その一連の流れに携わることができたのも大きな経験になりましたね。その後、近森病院がDPC(診断群分類別包括評価)になる時に、診療支援部長として支払制度の導入に携わりました。
−せいちゃんマン 近森会様に入られた当初からそのように事務方の要としてご活躍される一方、これだけ場数を踏まれている管理部長も他にいないというほど、患者様と直接に関わられる現場のお仕事にも色々と携わられてきたようにお聞きしていますが。
寺田様 そうですね。確かに色々やらせてもらったなと思います。現場でいうと、僕の場合、救急車の運転手も8年位はやりました。救急車は、普通免許を3年以上持っていたら運転できるので、近森会では、入ったら当然、そういう仕事も経験するんです。今でこそ、遠方の患者さんはヘリが運んできてくれますので出動数としては大分減っているかと思いますが、それまでは、室戸や足摺といった遠方から救急車で患者さんが運ばれてくる場合、向こうは救急車の台数自体が少ないので、途中まで、看護師さんらを乗せた当院の救急車を運転して患者さんを迎えに行くんです。高速を通って、どこそこで落ち合うという場所まで行き、そこで患者さんを引き継ぐ。そうすることで、向こうの救急車も早く帰ることができ、また別の患者さんを運ぶ事ができます。その為に当院の救急車を運転することが仕事の一つでした。そうした経験を積むごとに、どんなときでも平常心で臨む事が出来る様になりました。やはり、何事も経験して、現場が分かっていないと‥というのは大切な事ですので、救急車の運転や救急外来の受付といった現場に関われたことはとても良かったです。
−せいちゃんマン 現場の重要なお仕事にも関わられた上で、医療のあり方がどんどん変わっていく中、病院全体の重大なプロジェクトを幾つも受け持ってこられたのですね。
寺田様 はい。中でも一番大変だったのは、やはり、この7年間の病院全体の建て替え事業だったでしょうか。平成22年にスタートして、本館で5年、リハ病院、オルソ病院、看護学校でプラス2年かかり、昨年で一通り終わりました。近森病院は実績からみて、急性期から高度急性期へハード面で変貌するために、体制づくり、仕組みづくりを進める上でも建て替えが必要だったんです。もちろん、どこに何を配置するかといったことは、それぞれの現場ごとにかなりの打ち合わせをした上でやってきたのですが、建築図面の調整から高額機器の購入、工事の進捗管理まで任されていましたので、これはかなり大きな経験となりました。
−せいちゃんマン 建て替えに当たっては、最先端の設備など、どこの病院を参考にされたのでしょうか?
寺田様 4年ほど前ですか、ドクターたちと一緒にアメリカの病院を見させてもらいに行きました。集中病棟やICUの、モニター系や集中管理の仕方、部屋の間取りなどは、循環器で有名な海外の病院のつくりを一部取り入れさせていただいています。アメリカと日本では医療制度はぜんぜん違いますが、日本にはああいうつくりの病院はないのでやはり見にいかないと分かりませんでしたね。
−せいちゃんマン 国内の病院間の情報交換も多いようですね。近森病院様も他の病院に対して非常にオープンですし、いろんな面で情報交換が盛んなようにお見受け致しますが。
寺田様 はい。ドクター同士は出身大学同士で懇意にしている病院が多く、学会などのつながりも多いんですね。それに引っ張られるような形で、事務方同士の行き来もあります。当院には年間で100病院くらい視察に来られますが、だいたいどこの病院も、見学に行ったりするのは自分ところの病院よりも機能の高いところで、そこの病院の何か良い面を取り入れようとするじゃないですか。医の世界ではそういうのがすごくある。これがほかの業種ならば、ある程度は企業秘密みたいなところがありますが、病院の世界ではそれがない。高知県内の病院同士でもそうなんですが、それが県外にまたがると垣根がなくて、こっちも何でも教えるし、向こうのいいところも教えてもらう。そういう世界なんです。医療職は国家ライセンスなので、どの職種も技術を高めるということにものすごく貪欲。事務方でもそれについて行かないといけないので大変です。臨床に関してどんどん進んでいっているドクターたちが存分に力を発揮できるよう環境を整え、ドクターたちの手の回らない部分をサポートしていかないといけない。僕自身、診療情報学会とか医療マネージメント学会とかいろんな学会に所属してまして、もう49才なんで座長を頼まれたりすることもありますが、そういうつながりの中で常にアンテナを張って新しいことを取り入れようと勉強させてもらっています。
真剣にインタビューに応じて下さる寺田管部長様です。
大切なチーム医療
−せいちゃんマン そうした近森病院様の多くの現場で、当社のたくさんのスタッフが重要な仕事を任せて頂いているのは、社長としましても非常に有難い事です。当社と近森会様とのお付き合いは、かれこれ40年程になりますが、その間、クラーク業務やアテンダント業務など関わらせていただく業務がどんどん増えてきたのも本当にありがたいことです。 クラーク業務はもう25年以上になりますが、常に他の病院にはない最先端の業務に当社のスタッフを登用してくださり、任されたスタッフも非常にやりがいを持って働かせて頂いております。
寺田様 アテンダントやクラークといった業務は、もともとはすべて看護師がやっていました。昔は看護師の業務範囲が広く、全部を看護師がやっていたんです。しかし、看護業務が膨大かつ高度化していく上で、だんだんと委託できるところは委託できるように変えてきました。それによって、看護師が看護業務に特化し、そこに集中して仕事ができるようになりました。医療の世界なので、一定のライセンスを持った方しかできない仕事とその周辺業務があり、その周辺業務の委託を広げてきたのですが、管財さんのスタッフの皆さんには、院内の委員会や勉強会にも出てもらいながら、病院のメンバーの一員としてチーム医療の一環を担っていただいています。もっとも患者さんにとっては、近森会の職員も、管財さんのスタッフも区別なく、病院の関係者ですし、うちの職員にしてみても、四国管財のスタッフさんにこの部分だけをお願いしているとかいう意識ではなくて、誰もが病院の中で同じように仕事をしているという感覚ですね。すべては患者さんを中心に考えた医療を追及してきた結果、チーム医療でやる今のような形になったと思います。
−せいちゃんマン 当社のスタッフをそれだけ信頼していただいているというのはとても有難いことです。お陰様で、近森会様で働かせていただいているスタッフの定着率はとても高くなっています。
寺田様 病院というのは、デパートへ買い物に行くのと違って、来たくて来るところではありません。病気になって初めて来るところなので、患者さんに接するとき、一つ一つの言葉のやり取りが大切になってきます。声を掛けるタイミングを一つとっても、ものすごく難しいんです。そういうのは、やはり、長く勤めている方でないと、うまく察知して、対応できません。クラークさんでも新人で来た人と、10年勤められた人とでは全然違います。病院でも患者さんにアンケートを取っていますが、そういう対応に長けている方が、四国管財さんのスタッフには多く、病院としても助かっています。外来業務でも、患者さんに、看護師の代わりに、アテンダントさんが対応してくれるので、その看護師は病棟に行けるとか。チーム医療というのは、そういういろいろな仕事の組み合わせで成り立っているんです。
−せいちゃんマン そうやって、チーム医療の一員に加えて頂き、次はこんな仕事もやってみない?といったご提案をいただく形で次々と新しい業務が増え、本当に嬉しい限りです。スタッフ一同、さらにそれぞれの現場で気を引き締め、近森会様のチーム医療の一員として力を尽くしたいと思っておりますが、近森会様で働かせて頂いている当社のスタッフに対して、さらにアドバイスをいただけますでしょうか?
寺田様 最初にも言いましたが、医療の世界は今、本当に転換期を迎えています。つい先日も、新聞で「地域医療構想」に基づいた2025年までの必要な病院のベッド(病床)数の削減・転換が打ち出されたことが掲載されていましたが、高知県の場合、今から1万6000床のうち5000床を調整しないといけないということですから、これはすごく大変なことです。人口減は進み、なおかつ医療職につく労働人口も減っていて、県全体で沈んでいっているみたいな所もある。そういう中で、病院もこの先、どうやって存続させていくかということを真剣に考える時が来ています。どんなに良い病院でも、人口が減って、患者さんがいなくなると潰れる。だからこそ、病院の永続性ということが常に課題としてあります。そういう厳しい環境の中、病院が生き残るためには、どうやってマネジメントしていくかというのを病院全体で考える必要があります。病院にはとにかく色々な部署があり、各部署が大きくなるほどそこで仕事も固定されて いってしまう傾向があると思うのですが、そこで四国管財さんをはじめ出入りの業者さんにお願いしたことは、各現場でなるべく連携をしなやかにやってもらいたいということです。末端に行けば行くほど、お互いに硬直した連携じゃなくて、しなやかに連携していってほしい。今でもできている事だとは思いますが、さらにしなやかに、ということが今、問われていると思うんです。それはうちの職員も同じように問われていることです。とにかく、病院というのは、病院の中での1日仕事になるので、本当に現場レベルでしなやかに連携して行ってほしい。昔ならば、上からこうしてくれ、ああしてくれとかいう事があったかと思いますが、今はもう、それでは間に合いません。今この瞬間も、現場でいろんなことが起こっていると思いますが、それらをある程度、現場の判断で調整し、対応する力が問われているんです。四国管財さんでも“クレームは宝”と捉えて対応されていますし、当院でも、患者さんのアンケートに応えてできることから改善していますが、やはり各現場ごとで、細かく実際に起こっている事を皆が把握し、改善して行くべき所を改善していく。そこを一番お願いしたいですね。
−せいちゃんマン はい承知いたしました。その「しなやかに」というお言葉、すごいキーワードで、有難いですね。当社のスタッフにも伝わりやすい。寺田様がおっしゃるような、細かい融通が効くのがうちの会社の特長の一つだと思いますので必ず徹底していきたいと思います。
最後になりますが、寺田様の個人の夢などをお聞かせ願えますでしょうか?
寺田様 僕の夢ですか? 夢はねえ、旅行が好きなんで、できれば、仕事の事も何も考えずに海外とかへ旅に出たいですねえ。今はまだなかなか病院が落ち着いている状況じゃないですし、業界全体がそういう雰囲気じゃないんで、どうしても仕事から離れられず、週末、県外に出張しても結局、仕事の話になってしまっていますが。いつの日か落ち着いたら、本を持って順路も決めず、一ヶ月ぐらい旅に出たいと思います。
−せいちゃんマン 今は仕事のことで頭がいっぱいというのは、本当に仕事が好きで、なおかつ責任感の強い寺田様ならではだと感じ入ります。そういうお人柄だからこそ、重職に任命されておられるのだと思います。でもいつかゆっくりと旅にも行かれて下さい。今日は本当に長時間、貴重なお話をありがとうございました。
せいちゃんマンと寺田管理部長様の2ショット。
付き合いが長くなるとともに、幅広い業務を任せていただいている
近森会様への感謝の念は尽きません。
高度急性期病院としての機能を果たす近森病院を中心に、脳卒中などの回復期リハビリを主に行う近森リハビリテーション病院、また整形外科の回復期リハビリの近森オルソリハビリテーション病院があり、グループの関連施設として床を備えるほか、在宅サポートの訪問看護や訪問リハビリなどの施設があり、それぞれが密な連携をとられています。このうち近森病院は現在、30診療科、512床からなり、重篤な患者を受け入れる「救命救急センター」に指定され、高知赤十字病院、高知医療センターとともに高知県内の高度急性期医療の拠点となっています。屋上にはヘリポートを設けて機能、規模を拡充し、「一般急性期病院」から「高度急性期病院」へと医療機能をアップ。 高知県の災害拠点病院にも指定されています。現在、近森会様で働く四国管財のスタッフは220人。インタビュー記事にもあるように患者さんと直に接するアテンダントやクラークといった業務をはじめ、清掃・外来警備・夜間救急受付・施設管理・オペ室サポート・院内託児所など様々な分野で人的支援をご提供させて頂いております。
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