採用面接(前編)

会社を良くするための究極の「問題解決」は採用の質を高めることです。このことは、私のメンターであるネッツトヨタ南国の横田英毅さんに教えていただきました。
それからは、採用の質を上げるためにいろいろなことをやってきました。最終的には、私なりに約60個のチェック項目をつくり、それを採用面接の参考にしていました。以下、前職でやってきたことをいくつかご紹介します。
※今はもうしていないと思いますが・・・

①電話の態度はどうか
 面接の時は、誰しもいい印象を与えようとして、よそゆきの顔をします。本音や素顔は出しません。そこで、面接希望者の電話を受けた時から審査を始めることにしました。面接希望者は、まさか電話に出た事務スタッフさんも審査しているとは思ってもいないでしょうから、普段の姿を見せてくれます。中には、事務スタッフさんに対する態度と、面接官への態度がまるで違う人がいます。相手によって態度をガラッと変えるような人は、要チェックです。
②迷わず会社に来られたか
 今はスマホのナビがありますので、本社への行き方を聞く人は少なくなりましたが、以前は、会社までの道順を尋ねられることがよくありました。こちらとしては、丁寧に説明したつもりでも、人によっては何度も電話をかけてきたり、道に迷ってなかなかたどり着けなかったりします。そこで、これも審査項目に加えることにしました。
 審査する以上、同じ条件にしなければいけません。そこで、事務スタッフによって説明が異ならないように、説明内容を定型文にしました。どの方角から来てもご案内できるようにもしました。すると、予期した通り、人によって差異が生じました。身体的な問題がないのに極端に道に迷う人は、入社してからお客さまにご迷惑をかけかねません。こういう人もチェックしました。
③時間通りに来社したか
 会社に到着した時間も審査の対象にしました。当たり前の話ですが、面接に遅刻して来る人はチェックしました。今は、スマホを皆さんお持ちですから、連絡なしの遅刻はよほどの事情がない限りアウトです。
 では、面接時間より早く来る人はどうかというと、これも極端に早い人はチェックしました。ビジネスでは、約束した時間の5分前に到着するのが礼儀であり常識です。お客さまにはご都合があります。大事なお得意先と商談中かもしれません、クレーム対応をしているかもしれません、会議や資料作成などで多忙を極めているかもしれないのです。 約束した時間より、極端に早く来る人は、相手の都合を考えない非常識な人といえます。
④土足禁止を守れたか
前職では、いろいろ効率化と経費削減をしていました。事務所の2足制(土足厳禁)もその一つです。そうすることで汚れが非常に少なくなりますので、執務室のワックスがけの回数を減らせます。加えて、靴を脱げますのでリラックスもできます。いいことづくしです。
しかし、中には「土足厳禁」と書いてあるにもかかわらず、スリッパに履き替えず、靴のまま上がってくる人がいます。そういう人は注意力が足りない人です。現場でお客さまの物を壊したり、壁を汚したりと、何かとトラブルを起こしがちです。ですから、靴を脱いで上がってこられるかどうかも事前審査のチェック項目に入れていました。
⑤書類記入時の様子
面接を受ける人には、まず2階で「面接事前質問シート」などに記入していただきます。質問シートは、聞きにくいこと、言いにくいことを書いていただくためのものでもあります。「暴力団関係者ではありませんか?」といった質問は、書いていただいたほうがトラブルになりません。また、質問シートには、個人情報保護法の承諾書もついています。
面接を受ける人は、書類を読んだり記入したりしている間、作業に集中しているため油断しています。しかし、すでに面接は始まっています。応募者が質問シートなどに記入している間、スタッフ全員でその人の様子を見ているのです。見ていないふりをして、服装、記入時の様子、所要時間、理解力、その人の雰囲気、部屋に入ってきた時の第一印象、あいさつなどをチェックします。
応募者が質問シートを記入し終わると、スマイルサポーターさんが3階の面接会場へご案内します。応募者が席を立ったら、皆で感想を言います。「ヤクザっぽい男の人の車に乗って来ていましたよ」「1階で車を洗っていたら、その人がタバコを公園にポイ捨てしていましたよ」など、皆が気づいたことを面接官に伝えます。皆が見た結果「ダメだ」と思った人は、面接してもほとんどダメです。
⑥靴や駐車の仕方
どんな車種で来社したのか、駐車場の車の駐め方は斜めになっていないか、車は頭から駐めたかバックで駐めたか、車内の様子はどうかなども見ていました。
本人が2階に上がってくると、スマイルサポーターさんは靴をそろえるために1階に下りて行きます。その際、靴をきちんとそろえて置いてあるか、TPOに合った靴か、かかとを踏んでいないかなどもチェックしています。
ちなみに車は、バックで駐めるのが正解です。私たちは、全員バックで駐めています。駐車場に頭から駐めている人は、事情があるかもしれませんので、それだけで不採用にすることはありませんが、会社の周辺道路に違法駐車しているようなら論外です。

上記のようなチェックをしていた理由は、面接官だけでは到底人を見抜けないとわかっていたからです。ですから全員でその人を見るようにしていました。