威張りん坊

私は威張る人が苦手です。ですから、私もなるべく威張らないようにしています。というか、長年威張らないように気をつけていると、だんだん威張りたいと思わなくなってきました。

これまで、たくさん威張る人を見てきました。弱い立場の業者さんに威張る人、年下に威張る人、後輩に威張る人、こういう人は非常にかっこ悪いと思います。
かつて、私が青年会議所に入会した時、「中澤」、「中澤」と私の名前を呼び捨てにする人がいました。その人は、以前から知っている人でした。私の会社の方がその人の会社より規模が大きかったためか、以前はへりくだって私に接していた印象があります。
それが、私がある団体に入ったとたん、その人の態度が急変しました。私は、ニックネームで呼ばれることが多く、今まで呼び捨てにされることはなかったので「いぇー!」とびっくりしました。
これは周りの人から聞いた話ですが、その人も最初は呼び捨てにすることをちゅうちょしたようです。しかし、「青年会議所ではオレの方が先輩だから、呼び捨てにしてもいいんだ」と自分なりに納得したらしく、意識的に私を呼び捨てにしました。
私は、威張りん坊さんは、“どうでもいい人リスト”に入れることにしていますので、まったく気になりませんが、もったいないなあと思いました。威張る人は、人をおとしめることで自分をよく見せようとするのでしょうが、意に反して周りから見ればかっこ悪いことこの上なしです。
 
 昔、「クイズダービー」という人気クイズ番組がありました。私は好きでよく見ていました。司会の大橋巨泉さんは、解答者の石坂浩二さんのことを「へーちゃん」と呼んだり、ビートたけしさんのことを「たけし」と呼んだりしたため、なれなれしいとか横柄だなどと言われたようです。
 しかし、私はそうは思いませんでした。というのは、巨泉さんはいつも同じ呼び方をしていたからです。番組の中だろうが、プライベートだろうが、本人がいてもいなくても、芸能人として人気が出ても出なくても、一切呼び方を変えることはありませんでした。「自分に自信がある人は、やっぱり違うなあ」と思ったものです。
 ビートたけしさんも同じです。昔、「オールナイトニッポン」という深夜のラジオ番組をよく聴いていました。人気芸能人が日替わりでパーソナリティーを務める番組で、たけしさんも9年間、パーソナリティーを務めていました。
 たけしさんの番組は、独特の毒舌が大人気でした。話の内容は超毒舌ですが、人の呼び方に関しては、一貫してきちんとしていました。本人が目の前にいてもいなくても、呼び方を変えることはありません。当時、たけしさんの人気はまさに絶頂期で、ともすれば威張りだしてもおかしくないところですが、そんなことは一切ありませんでした。

自分の社会的地位が上がったり、年収が上がったり、年齢が上がったりすると、とたんに周りの人を呼び捨てにする人がいます。私は、そういうみっともないことはしないと決めています。
そもそも、自分にそのような社会的地位があるとも思っていません。ですから、私の立場が優位になろうがなるまいが、いつも同じ呼び方をします。
さて、青年会議所の話に戻りますが、私は、3年間、代表世話人という大変光栄な役を務めさせていただくことになりました。現役メンバーの若い方とお話しさせていただく機会も結構ありますが、当たり前に、「さん」づけか「君」づけで呼ばせていただいています。基本、「さん」づけで呼びますが、相手がしんどそうだったら「君」づけにします。
若くても、年収が低くても、地位がなくても、人は等しく尊いものだと思います。
なので退職した後でも取引会社の方などに気軽に声を掛けられる様な生き方