プライベートな相談

会社経営においては、数字として目に見える売上や利益、来客数、宴会数などよりも、対応が難しい課題があります。それは人間関係という課題です。数字に表れにくいこの難問に正面から向き合い、解決にこだわっていくと、実は、目に見える数字となって成果が表れてきます。そのことを私は体験的に知っています。

人間関係の問題には、いじめだけでなく、仲が悪い、陰口なども含まれます。会社のトップが、自ら社内の人間関係のいざこざに介入するからこそ、この難題を解決することができるのだと思います。
人間関係のいざこざが解決できれば、職場の生産性を高められたり、離職率を下げられたりすることができます。生産性の向上と、人手不足の低減は、重大な経営課題であり、ここにトップが介入する意義があるのです。

かつて職場には、主(ぬし)化したベテラン女性社員さんがいて、周りの人はその人に気に入られるように、いろいろ配慮しなければいけなかった時代がありました。この主社員さんには、さすがの経営者も腫れ物に触るようなありさまで、なかなか口出しができなかったものです。
私は、前職において、こうした主社員さんに対しても、口を出す必要がある時はちゅうちょなく口を出し、たたかれながらも成長させていただいた覚えがあります。この過程でわかったことがありました。それは、人間関係のいざこざを引き起こす主社員さんたちは、往々にしてプライベートがうまくいっていないということです。彼女たちは、職場を不満のはけ口にして憂さ晴らしをしていたのです。
プライベートが仕事に悪影響を及ぼしているのは、主社員さんだけではありません。いままで笑顔だった社員さんから笑顔が消える背景には、十中八九、子どもの登校拒否であったり夫婦間の問題であったりと、何らかのプライベートな問題が潜んでいます。
プライベートが職場の人間関係に影響しているのなら、職場内の労務管理を強化するだけでは、人間関係はカイゼンできません。そこで、私はプライベートな問題の相談にも積極的に乗るようにしたのです。

写真は昔の行動指針