名古屋鑑賞ツアー
昨年の話ですが、ホテル業は、なかなか休みが取りにくい仕事です。大変ですが、ありがたいことに、休みたくないぐらい毎日が充実しています。
たまに休みが取れると、娘が住んでいる関西に出向くようにしています。娘は、車を持っていないので、飼っている芝犬をドッグランへ連れて行ってあげるためです。ドッグランとは、愛犬をノーリードで自由に走り回らせることができる場所をいいます。
私たちが行ったドッグランは、宝塚市から車で1時間ぐらいの所にあります。ここは、本当にびっくりするくらいの大きさで、ドッグラン、犬用室内プール、ペット霊園まで擁する大型複合施設です。多い時は20匹ぐらいのワンちゃんが、本当に気持ち良さそうに走り回っています。
先般の休みは、コロナ禍でしばらく行けなかった音楽会に娘と行きました。といっても、私には音楽鑑賞やミュージカル観劇といった高尚な趣味はありません。どちらも娘の趣味です。娘は劇団四季のファンでもあります。娘のおかげで、自分にとっては縁遠いミュージカルを観る機会を得ています。
先日は、日帰りで名古屋まで遠征し、「ディズニー・オン・クラシック」を楽しんできました。私も娘も、予定時刻よりちょっと早めに行く性格です。これが今回大いに幸いしました。
私たちが名古屋に着いた時、中学の同級生のLINEグループから「名古屋に行く新幹線が停電しているみたいだよ」という情報が入りました。もし、定刻に着くように出掛けていたら大変なことに巻き込まれていたのです。
私たちは、無事に名古屋に着いていましたのでコンサートを鑑賞できましたが、途中、復旧のめどが立っていないという情報も入ってきていましたので、帰りは在来線で帰るか、近鉄で帰るか、どうしたらいいか、落ち着きません。
さて、コンサートが終わりました。急ぎ、新幹線の復旧情報を調べてみると、少し前に復旧したことがわかりました。私たちは、ちょうど目の前に停まったタクシーに乗車して名古屋駅の新幹線口に向かいました。
タクシーに乗ると、運転手さんが話しかけてきました。
「お客さん、運がいいね。たまたまお客さんを降ろすために、あそこに停車したけれど、普段、あそこには絶対にタクシー来ないよ」
「えー、ラッキー」
その日、私たちはとことんツイていたようです。
名古屋駅に着くと、切符売り場が大混雑していました。ありがたいことに、私たちは帰りの切符を買っていたため、切符売り場の混乱をすり抜けてホームに上がることができました。時刻は17時を過ぎていましたが、入線した車両は13時20分名古屋到着予定のものでした。
おそろしいくらい満員の車内を見ると、途中で長時間止まっていたため、乗客たちは一様にぐったりしています。自由席の乗車口は多分混雑しているだろうと思い、私たちは指定席の車両の入り口から乗車しました。これも正解でした。自由席の乗車口に並んでいたら、乗れたかどうかわかりません。
車内に入ると、車掌さんを呼び止めて「席は空いてないですか?」と尋ねました。車掌さんは「無理です」と即答しました。「ははあ、うんざりするほど聞かれて、対応するのも面倒なので即答したんだな」とわかったので、「空いている席に取りあえず座わろう」と言って、娘と座りました。車掌さんには「ここは指定席なので、指定券を持っているお客さんがいらしたら席を譲ってください」と言われましたが、4時間以上遅れている車両ですから、本来この席に座る方が乗ってくる可能性はまずないと思いました。
案の定、新大阪駅に着くまで、この席の切符を持ったお客さんは乗ってきませんでした。こうして私たちは、満員の新幹線にもかかわらず、座って帰ることができたのです。
さて、新大阪駅に着くと、これまた見たことがないくらい新幹線が混雑しており、切符も買えない状態でした。私たちは、その惨状を横目に見ながら、在来線に乗って娘の家の最寄り駅に向かいました。
新幹線は2時間以上遅れて目的地に到着した場合、特急料金の払い戻しを後日JRの駅窓口で受けることができます。高知駅でも払い戻しができるということで、これまたラッキーでした。
この日は、大停電の大混雑の中、全部うまくすり抜けることができ、一日中ラッキー続きでした。あまりにも運がよかったので、ツキを全部使ってしまったのではないかと心配するくらい、幸運な1日でした。