褒めたたえるスポーツ

「趣味は何ですか?」と聞かれたら、きっと「仕事が最大の趣味」と即答してしまいそうです。それぐらい、今でもですが四国管財でも仕事を最優先にしていました。申し訳なかったのは家族です。「さあ、たまには皆でご飯を食べに行こうか」と玄関を出たところで、携帯電話に緊急連絡が入り、私は家族を玄関に残して現場に駆けつけたことが何度もあります。「緊急連絡は、最優先で対応する」と心に決めていたからです。
本当に申し訳なかったのですが、家族だんらんというものは、まったくないに等しかったと思います。しかし、社員さんにも同じことを強いるわけにはいきません。社員さんには、お子さんの授業参観日など家族の用事を最優先にできるように配慮してきたつもりです。

多忙を極めた社長時代でしたが、社長を退任すると、劇的に時間ができました。尊敬する経営者の一人、株式会社天彦産業の樋口友夫会長はフェイスブックに「会長業は我慢業」と書いておられましたが、まさに会長職になってした仕事といえば「我慢」ぐらいでした。そこで、趣味に打ち込むことにしました。選んだ趣味はゴルフです。
ゴルフは、お客さまとコースをご一緒する機会もあるだろうと思い、入社以来、形ばかりですが続けてきました。ゴルフ歴だけは37年になります。
しかし、形ばかりですから、ゴルフをしていても楽しくありません。しかも、コースに出たら、ほとんど1日がかりですから、緊急対応ができなくなり、業務に支障が生じます。気持ち的にも、「今は仕事に専念したい」という思いがありました。性格的な問題もありました。大の練習嫌いなのです。ひたすらボールを打ち続ける修行僧のようなマネは私にはできません。ですから、たまにゴルフ場に顔を出すと、友人たちが「えーっ、なぜ中澤がいるの?」と驚くくらいです。
今回、ゴルフを始めてみようかなと思った理由は、親友が始めたからでした。このあたりの話は、ブログ「イップスと共に去りぬ」をご覧ください。ともあれ、ファースト・コラボレーションの武樋社長と私のゴルフライフが始まりました。
スタートラインは同じでしたが、武樋さんは練習熱心で真面目です。ハンディはどんどん少なくなり、上から目線で教えていた友人たちを、あっという間に追い抜いてしまいました。
一方の私はというと、ゴルフクラブを替えて以来、スコアは伸びず、完全に足踏み状態になっています。普通、仲間よりスコアが悪いと、「負けていられんぞ」と奮起するのでしょうが、私はそうなりません。自分の性格上、人が悲しんだり、落胆したりするのを見るのが耐えられないので、一緒に回った仲間が勝つと、むしろホッとします。この性格もゴルフの上達を妨げているのかもしれません。
しかし、ゴルフの良さはわかりました。大自然の中をゆっくり歩いて、山や海に向かってボールを打つのは、とても気持ちがいいものです。
もう一つ、ゴルフの良さがわかりました。それはゴルフが「褒めるスポーツ」だということです。まず、ナイスショットをしたら皆で褒めます。これはあたり前ですが、左右に曲げてしまっても、「セーフです。よかったですね」と言います。たとえアウトになっても「ここはプレーイング4(前進4打)がかえって打ちやすいですよ」などとフォローします。グリーンでカップを外した時も「惜しかったですね。もうちょっとでしたね」と励まします。
ゴルフには、相手をくさらせるような言葉は一切ありません。だから紳士のスポーツといわれるのでしょう。
私の知り合いに、スイングを見ていないのにスイングを褒めた人がいました。褒めるのが習慣になっているようです。その人は別のことをしていて、仲間のスイングを見ていませんでした。それなのに、「いやあ、音はすごかったですね」と褒めたのです。
しかも空振りなのに
ゴルフは、音だけでも、ウエアだけでも、バックだけでも褒めることができるスポーツだと知りました。ゴルフは、人を褒めるお手本のようなスポーツです。

ゴルフに限らず、「褒める」ことはとても大事です。家庭教育でよくいわれる話ですが、朝、子どもが学校へ行くまでに何回ダメ出しをしていることか。「早く起きなきゃダメでしょ」「ご飯食べなきゃダメでしょ」「歯を磨かなきゃダメでしょ」などなど。しかし、ダメ出しされて学校へ行くより、褒められて学校へ行く方が、どれだけいい1日になることか。
最近は「ほめ達!」検定(一般社団法人 日本ほめる達人協会)という、褒める技術を教える検定もあるようです。とある自動車学校さんは、その検定を導入して、生徒さんが気持ちよく教習を受けられるようにしていると聞きました。私は、高校3年生(18歳)の時に自動車学校に通いましたが、それは、それは厳しかったです。厳しくて、よく叱られました。叱られたら萎縮するのでうまくいくはずがありません。そしてまた叱られるという負のスバイラルに陥りました。
最近、高校野球の指導者も、かつてのスパルタ式を改め、普段の力が発揮できるように、褒めることを指導に取り入れていると聞きます。

これは経営も同じだと思います。四国管財では、ホウ・レン・ソウを大切にしています。いろいろ試行錯誤した結果、ホウ・レン・ソウをよくするためには、ホウ・レン・ソウを上げてくれた時に、たくさん感謝して褒めることが大事だという結論に達しました。
例えば、ホウ・レン・ソウが上がってきたら、「今日、すぐに報告を上げてくれてありがとう」「おかげでとても助かりました」「いい社員さんがいてくれてありがたいです」というように「感謝の言葉」と「褒める言葉」を社内報などで、すぐにフィードバックしていました。
しかし、ホウ・レン・ソウを始めた当初は、何もわかっていなかったので、ホウ・レン・ソウが上がってこないと、「なぜ上がってこないんだ」とか「ちゃんとせい」などと、社員さんのせいにして、社員さんを叱っていました。しかし、社員さんは、褒められないと絶対にホウ・レン・ソウを上げてくれません。そのことがわかってからは、「褒めまくり」「感謝しまくり」に180度方向転換しました。
我が三翠園では昔の失敗が無いように24時間365日連絡くださいとお願いしていますが残念ながら皆さん凄く遠慮してなかなか電話してくれませんでしたが最近ありがたい事にボツボツ休みでも電話をくださる事が増えてきました。
これが当たり前の様に24時間ガンガン来てくれる様にするのが社長の仕事だと思っています。顔晴ります.

※写真は日曜市で鷹を発見