マニュアルにできない応対

四国管財が、お客さまから一番評価していただけた点は、社員さんの笑顔の応対、あいさつの良さ、感じの良さでした。これらは研修すればよくなるというものではありません。社員さんが安心して笑顔で働けるようにすることで、自然に、そうなるのだと思います。
当社では、社員さんを大切なお客さまだと考えており、社員さんからの不安、不満、悩みなどを訴える声を「ラッキーコール」と呼んでいます。
人は、不安があると、いきいき働けません。やりがいも感じられません。結果、持てる力を存分に発揮できなくなります。これでは、社員さんに感じのいい応対など望むべくもありません。まずは、社員さんに安心して働いてもらえるようにすることが何よりも優先すべきことだと考えました。
そこで、「困ったことはない?」「働きにくいと感じることがあれば何でも言っておいで」「何かあったら全部解決するよ」などと、何かにつけて社員さんに言い続けました。
社員さんからのラッキーコールについては、24時間、365日全力で対応してきました。その内容は、公表できるものについては、社内報に掲載するなどして、全社員さんにフィードバックしました。「こんなことまで相談していいんだ」「本当に親身になって相談にのってもらえるんだ」と思ってもらいたかったからです。
個人情報の取り扱いが厳しくなるまでは、この赤裸々な社内報を社員さんだけでなく、すべてのお客さまにも配っていました。
お客さまのなかには、「もうこの社内報は持ってこないでくれ」とおっしゃる方もいらっしゃいました。その理由は、「こんなに会社に言いたいことを言ってもいいんだ」「会社もそれに応えてくれるんだ」と、社員さんに思われたら大変なことになるからです。「うちにはできっこないから、うちの社員には見せないでくれ」と言われました。私にしてみればうれしいクレームでした。
しかし、大半のお客さまには、「あの社内報は参考になった」「あのクレーム対応は、朝礼のネタにさせてもらったよ」「こういう経営もあることがわかり、勉強になった」と、喜んでいただけました。今も、社内報について褒めてくださる方がいらっしゃいます。それぐらいインパクトがありました。当社は新規営業活動をほとんどしていませんが、代わりに社内報が強力な営業ツールになっていました。

ある時、社員さんの感じの良い応対をマニュアル化できないかと考えてみたことがありました。しかし、現場は150カ所あり、約600人の社員さんが、日々、お客さまに感動を提供しています。社員さんは、年齢、経験、価値観、性別など多種多様です。お客さまも現場によって異なります。これをマニュアル化することは無理であり、意味のないことだと思い、マニュアル化はやめにしました。
確固たるものにしなければいけないのは、サービス・マニュアルではなく、会社の価値観や方向性を指し示した経営理念であり、具体的な行動指針です。四国管財では、これをドリームカードと呼んでいました。
安心して働ける環境があり、経営理念の浸透がなされていれば、社員さんは、勝手に、ディズニーランドやザ・リッツ・カールトンホテルのような伝説の物語を紡いでくれるのだと思います。
我が三翠園でも先日の幹部会でお客様や社員さんからの有難い意見をラッキーコールと呼びたいとお願いしました。今月やっと社内報の元の社長の思いを全社員さんに配布させて頂きました。簡単に上手くいかないのでワクワクしてます。