大きな収穫 ~産業カウンセラー~

私のせっかちな気質は、時に、大きな早とちりを引き起こします。これは、四国管財の社長をしていた時の話です。
ある日、新卒の社員さんが、先輩社員の(キャリアカウンセラー有資格者)別府さんに、実家への仕送りについて相談していました。その場にいた私が「いくら送っているの?」と尋ねると、新卒社員さんは「2万円です」と答えました。私は「親孝行でえらいね!」と褒めました。
ところが、先輩社員さんはあきれ顔で、「社長は、本当に人の気持ちがわからないのですね」と言うではないですか。実はこの時、新卒の社員さんは2万円の仕送りが大変で、先輩に相談していたのです。「しまった!」。傾聴力が未熟なため、また早とちりをしてしまいました。今の傾聴力で、社員さんの不安や悩みに向き合ったら、相手をいやすどころか、逆に無神経な発言をして傷つけかねません。そうなると、もう立派な人災です。
なんとか傾聴力を高めようといろいろ調べたのですが、高い傾聴力は、専門的な知識とスキルに裏打ちされたものであり、独学で身につけるのは困難だとわかりました。そこで、産業カウンセラーの資格取得セミナー(土日開催、延べ23日間)に参加することにしました。
セミナーは、①理論学習と②体験学習で構成されています。①理論学習では、メンタルヘルスや産業組織心理学、労働関係法など、現場で役立つ専門知識を学びます。②体験学習では、カウンセラー役・相談者役・観察者役を体験します。相談者が、自分の感情や思いを理解し、自ら決断し行動できるように支援します。そのために必要な態度とスキルを実践的に習得していきます。ひと言でいうと「傾聴力」の習得です。
 私は、理論学習が不得意で、よく理解できませんでした。一方、体験学習は得意でした。とはいえ、覚えなければいけないルールがいろいろあるので、結構しんどいなあと思いながら学んだ記憶があります。
 セミナーの参加者は30人ほどで、体験学習では、毎回グループワークがありました。「はい、今から1時間グループワークをしましょう」と指示が出ると、お互いが相手の悩みに耳を傾けます。すると、嫁しゅうとめ問題、職場の悩み、ご主人の問題、将来の不安など、出るわ、出るわ。「これは難しいぞ」と感じました。
しかし、受講を重ねて、聴く力が高まってくると、話している本人すら気付いていないような問題まで聴き出せるようになってきました。参加者の中には号泣する人もいました。
「人は話を聴いてもらうだけで、こんなにも泣き、これほどまでに落ち着くのか」
この体験は大きな学びとなりました。社員さんに寄り添って、相手の話を聴いてあげるだけで、大きな安心感につながることが、この時、わかったのです。

写真は現在の個人面談の場所です