想定外の提案
三翠園の社長に就任して1年がたちます。この間、いろいろなカイゼンを行ってきました。今、私たちの足跡を記録しておくために少しずつ書き出しています。
こうしたカイゼンの中には、私だったら絶対に思いつかないような提案もありました。それは、ホテルの代表電話を夕方の18時以降、留守番電話による対応に切り替えるというものです。
ホテルは24時間営業のサービス業です。お客さまからの電話は、早朝、深夜を問わずかかってきます。「サービス業だから、その電話に対応するのは当たり前」「留守番電話なんてあり得ない!」と思いました。
しかし、半面、人手不足は深刻な問題であり、働き方改革を待ったなしに推進しなければいけません。当社も、働き過ぎを防ぐことで、働く社員さんの健康を守り、多様な「ワーク・ライフ・バランス」を実現することが求められています。
まずは、現場になぜ18時以降を留守番電話に切り替えたいのか、その理由を聞いてみることにしました。挙げられた理由は、18時以降もたくさん問い合わせの電話は入るものの、すぐに対応しなければいけない案件はほとんどないこと、中には「この時間にそれを聞きますか?」と思うような案件も散見されること、少ない人員のために恒常的に多忙を極めていること、などでした。
検討した結果、緊急の場合の電話番号を留守番電話で案内するという救済措置を設けた上で、18時以降は代表電話を留守番電話に切り替えることにしました。
今回の現場からの提案は、私の価値観からいうと「あり得ないこと」です。それでもやってみることにしたのは、私に本件に関する経験がなかったからです。自分が過去にやってみて、ダメだったことなら「こういう理由でうまくいきません」と即答しますが、そうでないものについては、やってみないとわかりません。それなら救済措置もあることだし、導入してみようと思ったのです。
さて、この留守番電話ですが、いざスタートしてみると、あっけないほど何の問題も起こりませんでした。夜間の電話は激減し、重要な用件はきちんと緊急の番号に入ってきます。
今回、当社は初めて導入しましたが、他社のホテルでは、既に営業時間を設定して、それ以外の時間は留守番電話に切り替えているところも珍しくないと思います。しかし、三翠園ではあり得ないほどの一歩です。現場から提案が挙がってきたのですから、カイゼンどころか大革命といえます。
社員さんには、これからも「絶対に無理」「あり得ない」と思っていた提案をどんどん出していただき、みんなで自分たちの三翠園をいい会社にしていきたいと思います。