部下が上司を見限るとき ~ネガティブ・ハロー効果~
上司は、部下に対して認知バイアス(偏り)をかけがちです。例えば、何か失敗をしたときに「この人はダメだ」「使えない」と思い込んでしまうことがあります。そうなると、その部下がいい仕事をしたとしても正当に評価してもらえなくなります。これを「ネガティブ・ハロー効果」といいます。対象者のどこかにネガティブな印象をもつと、他の部分も低く評価してしまいがちになるという心理的作用です。
上司にネガティブな印象をもたれた部下は、希望を失い、何も考えず、ただ生活のために働くか、離職を考えるしかなくなってしまいます。
逆に、部下が上司に対して「ネガティブ・ハロー効果」をいだくこともあります。そうなると、その部下は依存型の社員になってしまいます。自発・自主・自律した仕事の仕方ではなく、リスクのある仕事をさけ、言われたことしかしなくなります。どうしてそうなるのかというと、その上司は自分をかばってくれないため、失敗すると責任追及されると思うからです。
仕事でいうリスクとは、うまくいくかどうかが不確かなミッションをいいます。会社は、変化に対応できなければ衰退します。これは、一定程度、新しいことにチャレンジし続けなければいけないことを意味します。
チャレンジにはリスクが伴います。組織がチャレンジを決めても、社員さんが依存型人財になってしまっていたら、”笛吹けども踊らず”になりかねません。これは会社にとって大きな損失といえます。
社員さんにとっても、自己実現の欲求や達成感や成長意欲などが満たされませんから、幸せになれません。そうなると、会社の生産性は低下し、離職率は高まります。
上司の役割は、部下を見限ることではなく、部下をとことん信頼することだと思います。そして、率先してチャレンジする背中を見せ続けることだと思います。