コミュニケーション・ミス
先般、地元宴会でお客さまを不快にさせる事件が起こりました。クレームが発生した際、その矢面に立たされたのは給仕を担うホールスタッフでした。しかし、クレームの原因はホールスタッフにはありません。お客さまとの事前打ち合わせにおいて、詰めが甘かったことに起因したものでした。この点、ホールスタッフはお客様の次の被害者といえます。
もっと日常的に被害者になりやすいのは、フロントスタッフです。宿泊お客様であれ、宴会利用お客様であれ、すべてのクレームは最終的にホテルの顔であるフロントに集中するからです。フロントスタッフは、すべてのクレームに対応しなければならないため、大変な対応力が必要です。
当然、フロントスタッフから現場への要望や改善要求はきつくなります。こうして社内に、クレームの矢面に立たされる部署とクレームを引き起こす部署との間に「ギャップ」(溝)ができあがります。まるで被害者と加害者の関係です。円滑なホテル運営をするためには、この「ギャップ」を埋める必要があります。そのためには、クレームを少なくするしかありません。
クレームの多くは、コミュニケーション・ミスに起因します。コミュニケーション・ミスはさまざまなホウ・レン・ソウの場面で生じます。お客さまと営業部門との打ち合わせの際、営業部門と宿泊・おもてなし・調理部門との打ち合わせの際などです。
言葉を省略して伝えてしまったり、相手の話をいいように解釈してしまったりすることで、コミュニケーション・ミスが発生します。特に、情報の入り口段階となるお客さまとの打ち合わせにおいて、コミュニケーション・ミスが発生すると取り返しがつかなくなるので要注意です。
例えば、ロータリークラブさんやライオンズクラブさんのように、長年お付き合いのある団体・企業さんについては、お客さまのこだわり情報をかなり蓄積できています。それがあるからこそ、お客さまのかゆいところに手が届くようなサービスができます。しかし、情報が蓄積できている半面、大きな落とし穴もあります。
企業さんや団体さんは、一定期間でトップや幹事さんが交代します。その際、大なり小なりご要望が変わります。「昨年こうだったから、今年もこうだろう」と勝手に解釈しながらお客さまのお話を聞いてしまうと、コミュニケーション・ミスが発生し、お客さまにご迷惑をおかけすることになってしまいます。
それを防止するためには、蓄積した情報に頼らず、毎回、新規のご依頼と思ってお客さまのお話を承るしかないと思います。
写真は感動の垂れ幕をニコニコして作成する鍵山宿泊担当副支配人