有り難いまるしぇ

先日の9月23日、3年ぶりに「三翠園さくらのまるしぇ」が開催できました。マルシェとはフランス語の市場を意味します。手作りの小物、アクセサリー、ランチ、スイーツなど、いろいろなお店が出店する催事です。
「三翠園さくらのまるしぇ」の開催は、ある担当者の悲願でした。私は、三翠園の社長に就任してから、この間、全社員さんとの個別面談を行っています。ある社員さんとの面談の際、「これまで、どんなことをしてきたんですか」「どんなことをしたいですか」と尋ねたところ、「まるしぇ」の話を聞きました。
私は、いい企画だと思ったので「それいいね」「面白いやん」と言ったのですが、その社員さんは浮かない顔をします。「でもダメなんです」と言うのです。その理由は、利幅の薄い出店者が多いため、会場費を高く設定できず、三翠園として利益が出る事業にならないと判断されたからだといいます。
確かに、収益性で考えると、催事を開催するメリットはあまりないかもしれません。しかし、前回の来場者数は800人だったと聞きます。集客という観点で考えれば、私には、とても魅力的な事業だと思いました。これまでの三翠園にはなかった発想だったこともあって、当時の経営は開催をためらったのだと思いますが、今は経営を立て直すために集客力を高める必要があります。
事業計画書を具体的に見せてもらったところ、非常に面白い企画でした。私は「これいいねえ」「すぐやろうや」と即決しました。

これは、新卒者の採用面接をしていてわかったことですが、若い人は、三翠園を利用したこともなければ、その存在すら知らなかったという人が予想外に多かったのです。私たちは、県庁前の鏡川沿いに建つ三翠園を知らない人がいるなんて有り得ないと思っていました。それほど天狗になっていたということでしょう。
ともあれ、若い世代の認知度を上げないことには、ブライダルにもつながりません。まずは、収益性より三翠園を知ってもらうことが先決だと考え、「三翠園さくらのまるしぇ」にGOサインを出しました。
実施を決めた理由はもう一つありました。それは社員さんが成長するチャンスにしたいと思ったからです。ネッツトヨタ南国さんは、イベントをよく開催していますが、それはその場で車を売ることを目的にしていません。目的は社員さんの成長です。イベントという共通の目標に向かって、各部門の社員さんが協力し、自発・自主・自律して取り組むことで、社員さんは人間的に成長できるといいます。
「三翠園さくらのまるしぇ」も、社員さんにとって成長のチャンスになればいいなあと考えました。ですから、社員さんにアイデアを出してもらい、皆でいろいろなことに挑戦しようと思いました。
開催日時は、9月23日土曜日の11時から14時としました。その日時が空いていたからです。どうせ空いているなら、そこに自社主催のイベントをしようと考えました。

まるしぇの出店者数は、コロナ禍を挟んで3年ぶりの開催だったこともあり、前回に比べると少し寂しくなってしまいました。しかし、今回は新たな挑戦として「キッチンカーも呼ぼうや」ということになり、6台のキッチンカーに参加してもらいました。軽量の車は、お庭にも入ってもらいましたので、今までにない三翠園の風景になり、大いにイベントを盛り上げてくれました。
最も心配だったのは、どれだけの人に来場してもらえるかでした。当日は、朝10時開店でしたが、50人ほどのお客さまが並んで開店をお待ちになっている姿を見て、少しホッとしました。今回の来場者数は400人でした。600人という目標には届きませんでしたが、社員さんの成長という観点では、非常に大きな手応えがありました。
また、来場者の皆さんに、おせち料理のリーフレットをお配りすることができたのもよかったと思います。リーフレットは、かなり早くから準備していたのですが、修正につぐ修正で、ギリギリまるしぇに間に合わすことができました。全部手作りで、三翠園が自信を持ってお勧めするおせち料理です。

「三翠園さくらのまるしぇ」は、社員さんが成長できるチャンスですから、私はなるべく口を出さないようにして、皆に楽しんでもらいました。
唯一、お願いしてイベントに加えてもらったことは、イベントの社会性を高めることでした。微力かもしれませんが、社会の役に立つイベントにしてほしかったのです。
加えてもらったのは保護ネコの譲渡会です。私の友人で、「高知ニャンとなるワンの会」の野村代表にご尽力いただき、いろいろな団体に声をかけてもらって今回の譲渡会を開催することができました。初めての試みでしたのでカイゼン点も多々ありましたが、参加してくださった各種団体の方々には、有り得ないくらい喜んでいただけました。私にとっては、こんなに喜んでいただけたことの方が、有り得ないことでした。「有り難い(めったにない)」イベントにしてはいけないと痛感しました。
まもなく社内で振り返り会を行いますが、その場で、譲渡会を月2回ほど定期的に実施することを提案したいと思います。
旅館ホテル業はチェックインとチェックアウトの間、大きな駐車場に空きが生じます。ロータリークラブさんやライオンズクラブさんの例会が入っていない日は、駐車場がガランと空いていますので、そこで譲渡会ができます。そうすれば、社会のお役にも立てますし、若い人たちにも来館してもらえます。今回はネコちゃんだけでしたが、次回はワンちゃんもOKにできたらいいなあと思っています