誰もが幸せになれる飛行機(後編)
私は、「ディズニーの神様」シリーズの著者で、株式会社ヴィジョナリー・ジャパンの代表取締役の鎌田洋さんとご縁があります。鎌田さんの会社が設立20周年の時、恐れ多いことに、私は壇上で話をする機会をいただきました。
私の話を聴いてくださったのは、なんと全日空の職員さんたちでした。客室乗務員の方、地上職員の方、整備の方を相手に、1時間ぐらい四国管財での取り組みをお話しさせていただきました。夢のような時間でした。
せっかくなので、母との旅行の話もしました。「航空会社のサービスって何でしょうか?」「車いすを用意する、しないだけでなく、もう一歩、障がいをもつ人の心に寄り添うサービスをぜひお願いします」という話もさせていただきました。
私には車いす生活をしている友人もいます。彼は車いすの競技をしているアスリートでもあります。「自立」を強く意識している人です。車いすというだけで「介助が必要な人」と決めつけられ、人が付くのを非常に嫌がります。
しかし、彼が飛行機に乗ると、本人の意志とは関係なく、航空会社のルールで人が付きます。彼は人が付くたびに、「アスリートとして競技にも出ていますから、自分のことはできますので、よろしければ付かないでください」と言いますが、なかなか受け入れられません。私はいつも、「サービスって何だろう」と考えてしまいます。そのようなお話もさせていただきました。
今回のブログでは、前後編にわたって航空会社のサービスについて、いろいろお話ししましたが、高知空港や大阪空港の職員さんが悪いということではありません。皆さんは会社のルールの中で、全力でやっていただけています。会社のルールが障がい者にとって、必ずしも寄り添ったものになっていないだけです。
実際、航空会社の職員さんが一生懸命にがんばっていただけているから、障がい者とその家族は楽しい旅ができます。その上、運賃も割り引きしてもらえます。サービスは、してもらって「当たり前」ではありません。「ありがたい」ことです。おかげさまで、母と旅行に行けて、たくさん思い出をつくることができました。
ある時から、私は旅行に行くと、今1番人気のお菓子をたくさん買ってくるようになりました。そのお菓子は、到着ゲートを出る時に「おかげさまで、親子で楽しい旅行ができました。皆さんで召し上がってください」と言って、職員さんに渡しています。
このお土産についてのホウ・レン・ソウと連携には驚きでした。私が1人で出張に行く時でも、私の顔を見ると「先日は、お菓子をありがとうございました」と、さまざまな部門の人からお礼を言われます。周りに人もいるので恥ずかしくなりますが、一生懸命に仕事をしている人に、感謝を伝えることは、とても大事なことだと改めて思いました。
それは航空会社の人に限りません。例えば公務員の方にもがんばっている人はたくさんいます。一生懸命に仕事をして当たり前と思われがちですが、感謝はやりがいになります。やりがいがなければ疲れ果ててしまいます。公務員にも感謝は必要です。
今、私は「土佐経済同友会」で「ウェルビーイング」を推進しています。働く人の幸福度を上げることで、高知県を“幸地県”にしようという活動です。
私が最も気になっているのは学校の先生です。先生が疲れ果てています。この先生たちを元気にできれば、元気になった先生は子どもたちを元気にしてくれます。その先には“幸地県”が見えます。人を幸せにする「ウェルビーイング」は、すべての組織に必要なものです。この活動は絶対に続けようと心に決めています。