普通の神対応

最近ちょっとずつですが、会話する機会があまりない社員さんからも、LINEでご相談をいただけるようになってきました。
そのような折り、「突然のLINEで申し訳ございません」という書き出しで始まるメッセージが届きました。そこには、困っている実情、これまでの経緯、会社の理不尽な対応などが書き込まれていました。
私は、その社員さんの話に耳を傾け続けました。すると、なぜか社員さんはびっくりし、大変感動されました。私は何も特別な対応をしたわけではなく、普通にお話を聴いただけでしたので、私の方が「えっ、どうして?」と驚いてしまいました。

この相談者は、近々、職場の担当責任者と話し合いをするようでした。そこで、相談者には「言いたいことはこれこれ、という具合に要点を書いてまとめておくと、聞く人がわかりやすいと思いますよ」「話し合いの場では、我慢せず言いたいことを言って構いません。何を言っても逆ギレなんてしませんから大丈夫ですよ」と話して、まずは安心してもらいました。
次に、相談を受ける担当責任者に対しては、「こういうことで社員さんが困っているから、まずはよく話を聴いて、社員さんの感情を受け止めるようにしてあげてください」「本人には言いたいことは全部言ってくださいと話してあるので、何を言われてもキレずに、親身になって相談に乗ってあげてください」と根回ししておきました。
こういうケースでは、それぞれの「思い」があるので、事前に、両者に根回しするとともに、担当責任者と情報共有しておくと、スムーズな対応ができます。

結果、話し合いはスムーズにできたようで、相談者からは「おかげさまで、じっくりいろいろと話を聞いてもらえました。ありがとうございます」という返信がきました。担当責任者からも「今回は、話を直接聞けて現場の事情がよくわかりました」という連絡がありました。
後日、相談者からまたLINEで連絡が入りました。「ひょっとして、私が社長に事前に相談したことを、担当責任者の方はご存知だったのですか?」というメールでした。担当を飛び越して、社長に駆け込んだことを上司に知られたら怒られるのではないかと心配したのです。それほど、過去の三翠園では、内容にかかわらず上司を飛び越して相談した時点で、その社員さんは叱責を受けたのでしょう。
しかし、私から見れば、部下に相談してもらえず、飛び越えられた上司の方に問題があると思います。そういう風土を変えず、社員さんに「困ったことがあったら、何でも私に相談してください」と言っても、絶対に本音の意見なんて挙がってきません。
ですから、上司である幹部社員の意識改革は大前提です。その上で、社員さんには「何かあったら直接社長の私に話してください」「自分を飛び越えられて怒るような人は幹部にしていませんから安心して何でもおっしゃってください」と話してきました。
すると、また社員さんたちは大喜びで、「本当に感動です」「神対応ありがとうございます」などと言ってくれます。しかし、そう言われれば言われるほど、うれしい半面、これまで何をしてきたのかと思うと、社員さんに申し訳ない思いでいっぱいになります。
社員さんの「やる気」は、心理的安全性が土台になります。いい会社にするには、「何を言っても大丈夫なんだ」「相談すれば対応してもらえるんだ」「ほったらかしされないんだ」と思ってもらえる風土づくりが欠かせません。
社長がそこまでする必要があるのか? と言われることもありますが、社長がしなければ誰もしなかったのがこれまでの実情です。こんがらがった紐を解くように、一つひとつ、誠意を持って取り組んでいくしかないと思います。

写真は大盛況だったまるしぇの開始前