歴史的な一歩
先日は、客室内に置いてあるアメニティーグッズ、備品、各種案内、サイン類の見直しをしました。これも企画女子部からの提案です。デスクの上が雑多になっていると、本当に必要な情報がお客さまに届かないだけでなく、清掃もしにくいという意見が出ました。
改めてデスクの上を見てみると、Wi-Fi、禁煙といった案内やサインがいくつも並んでいます。必要に応じて、その都度作成してきたため、いつの間にかこんなに増えてしまったようです。一つひとつ、目立つように作ったため、必要以上に大きいものもあります。こうしたことを続けてきた結果、美観や清掃面で問題が生じています。
化粧品などのアメニティーグッズについても、あれもこれもと増やした結果、洗面台の上がいっぱいになってしまい、何も置けません。これではお客さまも使いづらいと思います。もっとスッキリさせるべきです。
アメニティーグッズは、フロント脇にカウンターを設けて、必要な人に持っていってもらう方式にしたらどうかという斬新な意見も出ました。これについては、長年、三翠園を愛して、働いてきた社員さんからは「三翠園クラスで、アメニティーグッズをセルフで持っていってもらう方式にしている旅館は見たことがない」と不評でした。しかし、今はホテル旅館業界でも環境活動への取り組みが当たり前に行われており、一流ホテルでもリユース(繰り返し使用)、リデュース(ゴミの削減)、リサイクル(資源の再利用)を推進しています。世の中の流れは、確実に、過剰なアメニティーグッズの削減に向かっています。女性が宿泊する部屋にまで、ひげそりをセットする必要はありません。昔ならともかく、今はセルフも選択肢から除外すべきではないと思います。
私の経験からいうと、カイゼンの妨げになる代表的なキーワードは「他社はどこもやっていない」「こんなことは過去にしたことがない」です。こういう言葉(考え方)を乗り越えない限りカイゼンは絶対に進みません。
ですから、「うちはうちだ」「取りあえず何でもやってみようよ」と言っています。やってみて、お客さまからご意見をいただいたら、すぐカイゼンすればいいだけです。何もしないのが一番よくありません。この日も、三翠園は歴史的な一歩を踏み出すことを決めました。
今、三翠園では、これまでなら絶対にあり得なかったことが起こっています。それは、経営が現場の意見に耳を傾け、すぐに対応していることです。現場から意見が出たら、すぐに役員や幹部社員が現場に向かい、社員さんの意見を聞いて、急ぎ対応しています。
私たち役員の対応を社員さんはしっかり見ています。こうしたことを積み重ねていくことで、「ああ、この会社は現場の意見を無視せず、すぐ動いてくれるんだ」と思ってもらえるようになるのではないでしょうか。