経営の質を高める
私のありがたいネットワークにJBQ(日本ビルメン経営品質協議会)があります。JBQの前身は、「ビルメン☆アライアンス」です。
1996年、公益社団法人全国ビルメンテナンス協会は、次世代の経営者育成を目指して「ビルメン経営塾」を発足させました。その第1期生のメンバーが中心となって始めた勉強会が「ビルメン☆アライアンス」です。この「ビルメン☆アライアンス」に、全国の有志が加わって発展した組織が「JBQ」です。
JBQは、経営品質協議会の「経営品質向上プログラム」を用いて、経営品質の向上に取り組んでいくための勉強会です。今までのビルメンテナンス業界にはない価値観で経営を行い、社員さん満足、お客さま満足、地域満足を実現したいと熱望し、それに賛同してくれる全国の仲間と2002年に立ち上げました。
JBQのメンバーは、おおむね各県1社で構成されていますので、競合関係になっていません。ですからJBQでは、自社の情報を全部オープンにして、お互いに相談したり、情報交換したり、強みをマネしたりして、皆が成長していける組織となっています。
一般的に、団体組織は会員数の多寡を組織運営のバロメーターにし、会員の増強に注力する傾向にありますが、やり方を間違えると、逆に組織は弱体化します。
これは、会社の人材採用と同じだと思います。採用の質が低く、いい人材を採れなければ会社は衰退していきます。JBQはそういうことを心得ていましたので。むやみに会員を増強することはしませんでした。
それでも、充実した活動をしてきたことで、同業者だけでなく異業種からも注目されるようになり、「ぜひとも仲間に入れてほしい」というオファーをよくいただくようになりました。
気がつくと、会員数は自然に増えて、今では北は北海道から南は沖縄まで、31社が仲間になりました。どの会社も社員さんを大切にして、先進的な取り組みをしています。
月会費は2万円です。決して安くない会費だと思いますが、運営にほとんどお金はかかりませんので、会費は良質な研修プログラムの制作にかけることができます。ですから、著名な講師の方の研修にも、会員は月会費を支払うことで参加できます。
当初、コロナ禍で研修活動を制限せざるを得ないと思いましたが、皆さんご存じのようにZOOMというリモートツールを積極的に活用することで、乗り切ることができました。
さて、リモート開催には、思わぬよさがありました。それは見逃し配信です。研修会は、多くの会員さんが参加でき、かつ、参加機会が公平になるように配慮しなければいけません。毎回、日程調整は大変でした。しかし、リモート開催は、講師の先生の了解を得られれば、研修会を録画してアーカイブスに保管できますので、事務局の悩みは大幅に軽減しました。今では、研修会にリアル参加できなくても、同じ研修を受けることができます。
一方、リアル参加ならではの良さもあります。それは、講師の先生の熱量をじかに感じられること、人脈を広げられること、疑問に思ったことを質問できることなどです。ですから、アーカイブスの充実もさることながら、リアル研修にも多くの会員さんが参加できるように、関東と関西で交互に開催するようにしています。会場についても空港や駅からアクセスがいい所にしていますので、会員さんが参加しやすくなったと思います。
JBQの運営について、皆さんに自慢したいことがあります。それは会議の進め方です。かつては、リアル会議しかありませんでしたから、欠席する議員さんもいました。欠席した議員さんは、次の会議で意見を言いますが、議論を蒸し返すこととなり、審議が進みません。
私は、個人的に進展しないのが大嫌いな性格で、審議を止めるのは時間の無駄だと思っています。とはいえ、議員さんには公平に1票を投じる権利があります。その権利は当然尊重しなければいけません。出席者だけで決めるようにすると独裁政治につながります。
そこで考えたのが「1週間ルール」です。今では、誰でもインターネットが使える時代です。会議はZOOMでも参加できます。見逃し配信もあります。メールでも意思決定は伝えられます。そこで、1週間以内に意見を言わない場合は、1票を投じる権利が消滅する(消滅時効)というルールにしました。こうしたことで、公平に発言機会を設けつつ、議事決定が円滑に進むようになりました。
JBQは、組織名に経営品質協議会という言葉をつけているくらいですから、会議の運営も、「質」の高い運営に進化させなければいけないと考えたのです。