ウツボTシャツできました!

ついに、三翠園のオリジナルTシャツが完成しました! 三翠園では、今後、プライベートブランドの商品をたくさん作っていきたいと思っています。その理由は、利益が十分に確保できることと、差別化になることです。
例えば、せっかく非日常を求めて三翠園に足を運んでくださったのに、当館の売店で、どこでも買えるお菓子を販売していたら、お客さまに喜んでいただけるでしょうか。正直、あまり売れないと思います。旅先でしか買えない「限定品」だから魅力を感じてくださるからです。
そうは言っても、うちは旅屋です。ゼロからお菓子を開発することはできません。そこは相手先ブランドによる生産(OEM)を利用するのが現実的です。三翠園の物語にマッチするような銘菓を全国から探して、コラボレーションしようと考えています。

プライベートブランドと呼べるかどうかはわかりませんが、私が作ったプライベートブランド(PB)の第一弾はポストカードでした。三翠園のオリジナルポストカードがなかったので、まずはポストカードを作って販売してみました。とはいえお金はかけられません。そこで、私の娘が描いた山内容堂さん、山内一豊と妻千代さん、龍馬くんをデザインしました。これは夕食時のお料理の掛紙としても使用しています。
先般、三翠園自慢の天然温泉も商品化しました。当館の温泉成分を分析し、オリジナル入浴剤として商品化したのです。これは、約10年前、当社の社員さんが発案し、経営陣に提案した案件でした。当時は却下されましたが、昨年10月、現経営陣がチャレンジすることを正式に決定。松田医薬品さんのご協力を得て、なんとか商品化に至りました。

プライベートブランド商品は、利益が確保でき、他者との差別化も図れる半面、どれくらい売れるかわからないリスクがあります。経営再建途上の三翠園が不確かな事業のリスクを負うことはできません。
それならばということで、私が個人的にPB事業のリスクを負う仕組みを作りました。こうすることで、誰にとやかく言われることなく、自分の思うように推進できます。「また勝手なことをやって」と思われるかもしれませんが、自分のお金でやっていることなので、文句を言われる筋合いはありません。
ただし、役員が自分の利益を優先して会社の利益を損なう行為(利益相反)をしたとみなされると、法的なリスクが生じるため、そこは注意する必要がありました。
そこで、どんなに商品が売れたとしても、私に一切利益が入ってこないような仕組みにしました。具体的に言うと、商品の開発から制作までのコストが1000円だとしたら、私は三翠園に原価の1000円で商品を卸します。三翠園は、適切な利益を乗せて販売価格を設定し販売します。しかも、委託販売形式にしていますので、三翠園は不良在庫を抱える心配がなく、売れた分だけ仕入れ(原価)と利益が発生します。このような仕組みにしたことで、三翠園はノーリスクでプライベートブランド商品を販売できたというわけです。
ここまできっちり仕組みを作った理由は、私が退任した後、後継者たちに負の遺産を置き土産にしないためです。「あれは何だったのか」と言われることがないようにしようと思いました。
 と言うのは、私が三翠園に着任した時、「これなんでやっているの?」と言いたくなるような協賛広告や採算割れの事案がいくつもあったからです。会社の経費は、社員さんに全て説明できるものでなければいけないと思います。私は着任以来、会社にメリットがない広告や値引きは一切禁止にしました。継続的案件についても、非常に苦労しましたがお断りしました。一気に断れない事案については、「会社としてはもう払えません。今回は私が個人的に払いますが、来年からはお付き合いできません」と言ってお断りしました。そこまでしても、翌年、再びお願いしてくる取引先さんもあります。「昨年ご説明しましたが」と説明しても相手は全く覚えていません。私が本当に個人でお金を出したとは思っていなかったのでしょう。そんなことをする社長はめったにいないので、「個人で払うと言ったけれど、どうせ会社で出したのだろう」と思っているのです。しかし、私は、本当に、赤字で引き受けた宴会の差額や諸団体の年会費を自腹で払ってきましたので、堂々と胸を張って「すみませんこれご協力できません」と言えました。
「知り合いなら安くする」「知り合いだからお金を出す」「気に入らなければ付き合わない」というのは、感情のビジネスモデルだと思います。採算を考えた本来のビジネスモデルに直さないといけません。就任3年目に入りましたが、ようやく過去の遺産を整理できたように思います。

さて、新たに作った三翠園オリジナルTシャツですが、なんとウツボが首に絡まっているわけのわからないデザインです。しかし、何が売れるかなんてわかりませんので、ひそかに楽しみにしています。
少し驚いたのは、デザインの段階では白地にウツボの絵が描かれていた(と思っていた)のですが、発注して製品になってみると、なぜかグレーの下地にウツボがいたのです。原因は、初めてデザイナーとやり取りをしたため、仮の下地を本番の下地と勘違いして、色指定をきちんと確認していなかったためでした。これもありがたい勉強になりました。
何はともあれ、まもなく三翠園にしかないウツボのTシャツを販売します。人気を博しているオリジナル入浴剤「翠松の湯」と一緒に、よろしければウツボくんもぜひご購入ください。