不登校問題対策委員会

先般、「高知市不登校問題対策委員会」は、高知市の教育長宛てに提言を取りまとめました。
この委員会は、元不登校の方、不登校児童・生徒の保護者の方、学校の先生、大学で不登校問題を研究されている先生、心理学の先生、弁護士先生など、さまざまな分野の方たちで構成されています。私も、(本当は貢献できる力があるのに)教育界に力を注いでこなかった経営者の一人として参加いたしました。
委員会は、昨年来、さまざまな論点で議論を積み重ね、現時点において最善と思える提言を取りまとめられました。本提言の特色は、不登校の子どもたちを段階に分けて、子どもたちの様子と支援のあり方を示していることです。段階別に示すことで、子どもがどの段階にいるのか、どうすれば乗り越えられ、次の段階にいけるのかが明確になります。子どもたちにとっても、未来に希望が持てる画期的な内容になっていると自負しています。
提言では、「引きこもり」「不登校」といったマイナスイメージにつながる表現は極力使わず、「充電している時」というように、どんな時でも希望が感じられるような表記にしています。これは大変にすてきなことだと私は思います。

 先日、テレビの特集番組で、大阪府の小学校の先生が取材されていました。その先生は、お父さんも学校の先生で、毎年、お正月になると教え子からたくさん年賀状が届くのを見て、「学校の先生ってすてきだなあ」と思い、先生になることを決心したといいます。
 その先生の日常は、本当に多忙を極めたものでした。教員不足もあいまって、やることが非常に多く、時間がまったく足りません。給食は1分で食べ、子どもたちが給食を食べている間に、テストの採点をしていました。
 小学校の先生は、いろいろな授業を受け持ちますので、授業の準備の時間も確保しなければいけません。その間隙(かんげき)を縫って、先生は不登校の子どもたちに連絡を入れたり、朝、家まで迎えに行ったりしていました。
 先生が対応しなければいけない問題は不登校だけではありません。いじめ、不登校、自殺、暴力行為、非行行為、貧困、児童虐待、障害、外国人への対応、保護者等からの過剰な苦情や不当な要求など、さまざまな問題に向き合っています。
多忙を極める先生を守るためには、なによりも即効性と実効性のある対策が必要です。ここで絶対に間違えてはいけないことは、不登校の子どもたちへの対応が、必ずしも先生たちの多忙感の原因ではないということです。主な原因は、先生が担わなくてもいい業務や負担軽減が可能な業務が多すぎることにあります。こうした業務を削減することで、本提言の実現性も高まると思います。
本提言は、出すことが目標ではありません。提言後、どう変わったかを追跡調査します。こうした点も、本提言の特色であり、画期的なところです。こうした提言にできたのは、高知市の教育長が元学校の先生だったということも関係しているように思います。
私は、これまで本気で学校を支援できていませんでした。その反省もあって、今後は、できる限り学校を支援していきたいですし、私の周りに不登校の子どもがいたら、全力で応援してあげたいと思っています。