V字回復の理由
先日、高知で講演会があり、株式会社王宮の橋本明元専務が登壇されました。同社は、道頓堀ホテル、ザ・ブリッジホテル心斎橋、大阪逸の彩(ひので)ホテル、沖縄逸の彩ホテルを経営しており、最近だけでも「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞 審査委員会特別賞受賞、「ホワイト企業大賞」 大賞受賞など、輝かしい受賞経歴を持つ素晴らしい会社です。
講演は、本当に、感動の涙が止まらなくなるくらい、素晴らしい内容でした。橋本さんは、社員さんを大切にする経営を実践されていて、私が目指している姿をこの目で見ることができた思いです。大変ありがたい経験となりました。
四国管財の時は、目指す姿を同業者には見いだせず、独力で模索しながら、いい会社にしようと挑戦し続けたものです。しかし、今、私は三翠園を経営しており、株式会社王宮さんの同業者になりました。まさに目指す姿が目の前にあります。
橋本さんのお話は、「ああ、この通りにやればいいんだ」と腑に落ちるものばかりでした。宿泊専門のホテルも温泉旅館も、「本質的な部分はあまり変わらないなあ」と思いながら拝聴しました。
私が特に感動して、思わず泣きそうになったのは、コロナ禍でのお話でした。同社は、最悪のコロナ禍の時、一切、社員さんのリストラも給与カットもしませんでした。社員さんを本当に大切にしていたからです。
橋本さんは、コロナ禍に取り組むべきことを「4本柱」にまとめ、スタッフと共有しました。それは①売り上げが1円でも上がる方法を考える、②将来を見据えた「望遠鏡」的な取り組みをする、③研修を充実する、④地域貢献をする、です。特に②では、新卒採用を控える会社が多い中、新卒採用を続けました。③では、暇な時間を有効に使い社員研修に力を入れました。こうした経営努力が実を結び、いざコロナ禍が明けて、宿泊業界がどこも人手不足で受け入れがままならない時、橋本さんのホテルでは、お客さまを最大限に受け入れることができたそうです。利益も過去最高に出せて、輝かしいV字回復を果たしました。これは、社員さんを大切にしていたからこそできたことです。
この点、三翠園とは大きな差がありました。当社は、お客さまを受け入れたくても、人手不足で100%受け入れられませんでした。ここは大変反省しています。今、この点については、ひそかに温めている秘策があります。今の時点ではお話しできませんが、もうこれしかないと思っています。
今回の橋本さんの講演会は、高知県経営品質協議会さんが開催したものでした。講師の宿泊は、すでに協議会さんが手配されていましたが、無理を言って、宿泊施設を変更していただき、三翠園にお泊まりいただきました。
朝、1時間ほどお話を伺えたのですが、この時のお話がまた目からうろこが落ちる思いでした。取り組み方が当社とは全く違っていました。ショックも受けましたが、見方を変えれば当社がよくなるしかないヒントだらけで、わくわくが止まりません。これはもう、早急に時間をつくって、大阪の橋本さんのホテルに泊まりに行くしかないと思っています。