遅すぎるパワハラ対応
最近、高知新聞に、県の外郭団体さんで発生したパワーハラスメント問題が取り上げられています。現在、第三者委員会による調査段階であり、部外者の私が軽々に真偽を語ることはできませんが、同外郭団体さんの対応スピードには、思うところがあります。
パワハラ問題は、どこの会社でも発生しうる問題であり、過去、私も「パワハラだ!」と言われたこが沢山ありますので、まったく人ごととは思えません。
反省を込めて書かせて頂きます。
パワハラに関しては、厚生労働省から「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(令和2年厚生労働省告示第5号)が出ています。
これによると、事業主が、パワハラを防止するために講じなければいけない主な措置は以下の通りです。
①職場におけるパワハラに関する方針の明確化、労働者に対するその方針の周知・啓発すること
②労働者からの相談に対し、適切に対応するための窓口をあらかじめ定め、労働者に周知すること
また、同指針では、パワハラの相談があった場合の対応手順についても、以下のように示しています。
①事業主は、職場におけるパワハラに係る相談の申し出があった場合において、その事案に係る事実関係を迅速かつ正確に確認すること。相談者と行為者との間で事実関係に関する主張に不一致があり、事実の確認が十分にできないと認められる場合には、第三者からも事実関係を聴取する等の措置を講ずること
②事実関係を迅速かつ正確に確認しようとしたが、確認が困難な場合などにおいて、調停の申請を行うことその他中立な第三者機関に紛争処理を委ねること
③職場におけるパワハラが生じた事実が確認できた場合においては、速やかに被害を受けた労働者に対する配慮のための措置を適正に行うこと
④職場におけるパワハラに関する規定等に基づき、行為者に対して必要な懲戒その他の措置を講ずること。あわせて、事案の内容や状況に応じ、被害者と行為者の間の関係改善に向けての援助、被害者と行為者を引き離すための配置転換、行為者の謝罪等の措置を講ずること
⑤改めて職場におけるパワハラに関する方針を周知・啓発する等の再発防止に向けた措置を講ずること
パワハラ問題には、加害者と被害者がいますが、もしかしたら加害者も、本当は被害者なのかもしれません。決めつけず、丁寧に聞き取りをする必要があります。
そうはいっても、今回の、県の外郭団体さんの対応は、遅すぎると思います。新聞記事によると、この外郭団体さんでは、2022年以降で約20人が退職しており、その中にはうつ病や適応障害と診断された人や、組織への不信感を訴えて辞めた人が相当数いたとのことです。もしそうならば、「事実関係の迅速かつ正確な確認及び適正な対処」ができていないと言わざるを得ません。もっと迅速に対応し、短時間に第三者委員会までもっていくようにすべきだったのではないでしょうか。
迅速な対応が求められる理由は、パワハラで、ずっとしんどい思いをしている人がいるからです。事業主には、一刻も早く真相を解明して、必要な措置を講じる責務があると思います。