体験宿泊
2022年10月~2023年9月まで不定期で高知新聞さんの勧進帳の連載をさせて頂きました。
採用になるのは難しかったですが書いてきたものをここにアップさせて頂きます。
昨年、知り合いの盲学校の先生から「生徒たちにホテルの宿泊を体験させてあげたい」という相談を受けた。私は、胸を貸すつもりでいたが、終わってみれば、チェックインからレストランの利用にいたるまで課題
だらけだった。振り返りでは、マニュアルで徹底してほしいことをたく
さん教えていただいた。しかし、すべてのケースを想定することは難しい。そこで「すべてをマニュアル化することはできないが、とことんサポートすることならできるから、わからないことや困ったことがあったら、遠慮なくスタッフに声をかけてほしい」と説明した。学生たちは「そんなに人に頼ってもいいんですか?」と驚いていた。
以前、勉強会で、ある企業に伺ったことがある。その時、メンバーの1人は車いすだった。会議は2階で行うがエレベーターがない。バリアフリー的には大変きつい状況だ。しかし、そこで目にした光景は今でも忘れられない。その企業の社員たちは、車いすの人を見るやいなや、当たり前のように寄ってたかって、「わっしょい、わっしょい」と車いすを担いで運び上げたではないか。この企業には、エレベーターより大切なものがあった。それは心のバリアフリーだ。そのことを、盲学校の学生たちを受け入れて思い出した。(夢)