いつもと違うお正月

コロナ禍が明け、みなさんはいつも通りのお正月をお迎えになったでしょうか。三翠園は、コロナ禍とは違うお正月でお客さまをおもてなししました。
 まず、お楽しみビンゴ大会の復活です。これは宿泊のお客さま向けのイベントで、大みそか、元日、2日の夜に開催しました。当初、コロナ禍が明けたとはいえ、お客さまが本当に来場してくださるのか、不安の中での開催でした。ビンゴ大会は20時30分からスタートしますが、特に大みそかの夜は「第74回NHK紅白歌合戦」が放送されていますし、民放も楽しい特番を組んでいます。大きな会場がガラ空きになってしまわないか、不安でいっぱいでした。
 ところが、案ずるより産むがやすしで、ビンゴ大会には宿泊客の約半数にあたる100名ほどのお客さまが来場して、楽しんでくださいました。
 成功した要因は企画力だと思います。今回、運営について、私はまったく関与しませんでしたが、それがよかったのか、事務局が楽しいアイデアをたくさん考えてくれました。おかげさまで会場は、連日、笑い声と笑顔にあふれました。

お楽しみビンゴ大会を復活させた半面、取りやめにしたイベントもありました。一つは餅つき大会です。かつて、年末年始の風物詩として行っていたようですが、ノロウイルスによる食中毒や新型コロナウイルス感染のリスクを考えて休止していました。コロナ禍が明けて、ビンゴ大会と同様、餅つき大会も復活させるかどうかも検討しましたが、餅つき大会については今後も行わないことにしました。
最大の理由は、調理部に負荷がかかりすぎるからです。年末、調理部は「おせち料理」作りで多忙を極めます。疲れ切った社員さんに、続けて、餅つき大会の準備までお願いするのは無理だと思いました。
たかが餅つきといえども、前日からもち米を研いで水に浸しておかなければならず、当日も餅つきをするタイミングに合わせて、もち米をざる上げして、水気を切って蒸し始めなければいけません。
それに、餅つき大会を行うためには複数部門の連携が必要となります。ただでさえ人手不足です。年末年始の超繁忙期にイベントを開催する余裕などありません。私は、現場に無理をさせてまで何かをしたいとは思いません。それでは社員さんを不幸にしてしまいます。これからも自分たちのできる範囲でがんばっていきたいと考えています。
 もう一つ取りやめたイベントがあります。それは、正月三が日の朝に行っていた、干支(えと)にちなんだお菓子の頒布会です。聞くところによると、餅つき大会に代わって、何年も開催してきたそうです。
頒布会の日は、朝の5時に全役員が集合します。法被を着用し、6時半の朝食会場のオープンとともに、会場入り口で干支のお菓子をお客さまに頒布します。詳しくは過去のブログ(2023年3月17日「プロセスを改善する」)をご覧ください。
私は、昨年、初めてこのイベントに加わったのですが「あまりにももったいない」と感じました。というのは、せっかく役員が並んでお配りしているのに、何も説明していないため、お客さまには「くたびれた『おっちゃん』が配っている」としか見えないからです。
お菓子についても、もったいないと思いました。この干支のお菓子を作っている会社は土佐藩ゆかりの歴史あるお菓子屋さんです。そんな由緒あるお菓子屋さんに特注で作っていただいているのに、その紹介が一切なかったのです。
価値を伝える努力を怠れば、お客さまに価値を感じていただけません。結果、せっかくのイベントも喜んでいただけないものになってしまいます。
しかも、この頒布会は3日間行うため、連泊しているお客さまには「なんだ昨日と同じかいな」と思われてしまい、2日目、3日目になるにつれて、喜んでいただけなくなります。苦労が報われないイベントほど、むなしいものはありません。
そこで、本年は、勇気を出してお菓子の頒布会を取りやめることにしました。自分たちが早朝出勤したくないからやめたわけではありません。苦労する意味や価値がないからやめたのです。
しかし、ただやめただけでは、これまで特注で作ってくださっていたお菓子屋さんの売り上げが減ってしまいますので、ご迷惑をかけてしまいます。そこで、今までの購入額と同額分をお楽しみビンゴ大会の景品として購入させていただくことにしました。

三翠園では、本年からお正月に法被を着た役員がずらっと並んで、ごあいさつをさせていただく風物詩は見られなくなりましたが、私はこれはこれでありかなと思っています。
この1年半、私は、いい会社にするためにひた走ってきました。いい会社とは、かかわる人が幸せになる会社です。きちんと利益を出して、末永く存続する会社です。そのためには選択と集中がとても大事です。「前はこうだったから」をどんどん変えていきたいと思います。
だからといって、社長が独断的に変えるようなことはしません。それでは風土として根づかないからです。社長が交代したら必ず元に戻ってしまいます。そうならないためには、経営幹部はもちろん、すべての社員さんが納得した上で変えていかなければいけません。本年も、そこに挑戦していきたいと思います。