ゴルフは楽しく
私はゴルフが下手で有名です。ゴルフのデビューは中学1年の時でした。父にゴルフ場に連れて行ってもらい、2人でハーフを回りました。当然、ドライバーは打てませんので、ほとんど5番アイアンで回っていました。スコアはつけませんでしたが、父もあまりゴルフがうまくなかったように記憶しています。
父は、よく「清一が大人になったら酒を飲みにいきたい」とか「ゴルフを一緒に回りたい」と言っていました。しかし、父は一緒にゴルフをした1年後に急逝してしまいましたので、父の夢はかなえてあげられませんでした。
父は、楽しいお酒を飲む人で、酒席ではいつも人を気遣っていました。そのような父の生き方が大好きでした。父の影響もあってか、私も、人とお酒を飲んだり、ゴルフをしたりする時は、「楽しく」をモットーにしています。
四国管財では、上司がゴルフを教えてくれました。接待に必要だったからです。上司は大変ゴルフがうまい人で、せっかちな人でもありました。とにかくプレー・ファーストで、「人を待たせるな」「キャディーさんに迷惑をかけるな」というのが至上命令でした。おかげで私は30年以上素振りをせず、ひたすらプレー・ファーストで打っていました。
ゴルフはお付き合いでやっていましたので、レッスンにいくこともなく、当然、上達などするはずがありません。いつも、スコアは数えるのが大変なぐらいでした。ゴルフに誘われると、1日がつぶれてしまうし、気を遣ってしんどいし、走り回らなければいけないため、好きではありませんでした。ゴルフのお誘いは、「行けたら行く」と逃げ回っていました。
そのような折り、私の友人で、尊敬する経営者の1人である株式会社ファースト・コラボレーション武樋さんが、高知ロータリークラブに入会しました。それを機に、武樋さんはゴルフを本格的に練習することになりました。
それまでゴルフから逃げ回ってきた私でしたが、「武樋さんが始めるならば」ということで、思い切って2人でゴルフのレッスンを受けることにしました。ありがたいことに、福島正伸先生のお知り合いの中嶋千尋(なかじまちひろ)プロに教えていただけることになりました。この中嶋プロの教え方は、実にシンプルでわかりやすく、神がかっていました。
おかげで、私たちの腕前はメキメキ上達していきました。「このままならあっという間に80台か?」と思ったほどです。そうなるとゴルフ熱が急上昇し、ゴルフ場に入り浸るようになりました。過去の私を知っている友人たちは、ゴルフ場にいる私を見て「えー、なんでおるの?」と驚いたほどです。
ところが、コロナ禍でレッスンができなくなってしまいました。Webでレッスンする方法もありましたが、1人で予習復習することが苦手な私は、その場で教えていただかないと練習する気になりません。
そのようなある日、武樋さんがオリジナル・クラブをつくりたいと言いました。「それなら僕も一緒につくるよ」となり、私もゴルフクラブをつくりました。当時、スコアは絶好調で、クラブを新調する必要性は何もありませんでした。いらぬことをしてしまいました。クラブを新調してから、急に調子がおかしくなり、そこからイップスに悩まされ続けました。一緒に回っている人が私を見て気の毒に思うくらい調子が悪くなり、ゴルフ熱は一気に冷めてしまいました。
今は、年中無休の三翠園で働くようになりましたので、ゴルフは、月1回あるかないかの仕事優先の生活に変わりました。プライベートのコンペに参加する暇もなく、三翠園がお世話になっている団体さんのコンペにちょっと顔を出すぐらいです。
ゴルフをする機会はめっきり減りましたが、ゴルフをする際は心がけていることがあります。それは「楽しく」です。ゴルフには褒める文化があります。どんなに悪いショットでも「OBにならなくてよかったですね」という具合に、とにかく無理やり褒めることができるスポーツです。他のスポーツにはない、非常に楽しいスポーツだと思います。
せっかくの楽しいスポーツですから、頼まれてもいないのに人に教えたり、握ったりしないようにしています。相手がパットを外して喜ぶこと自体、あまり好きではないからです。
昔は、ミスショットをするとキャディーさんに八つ当たりする人も散見しましたが、そういうことも絶対にしません。むしろキャディーさんに迷惑をかけないように、クラブを多めに持って、ひたすら走るゴルフをしています。一緒に回ったキャディーさんに、「あの人と回って楽しかったなあ」と思ってもらえるような回り方を心がけています。4人で回るより、キャディーさんを含めた5人で回った方が絶対に楽しいからです。
こんな私ですから、ゴルフはとにかく気を遣います。自分の組がスロープレーだと、後ろの組が気になってゴルフにならなくなります。自分もせっかちですが、人を待たせるのはもっと苦痛です。グリーンに上がると、後続のプレーヤーが気になって仕方ありません。「グリーンに上がったら、後ろを見ないようにしないとスコアが成り立たなくなるよ」と友人から注意されますが、ついつい後ろを見てしまいます。人に迷惑をかけるのが本当に苦手です。
楽しくゴルフを回っていると、不思議とミスショットをしても悔しくありません。悔しくないということは成長しないということなので、自慢できることではありませんが、これからプロゴルファーになるわけでもないので、成長するより気心が知れた仲間と楽しく回れたらいいかなと思っています。
高知ロータリークラブの先輩に、95歳でラウンドされている方がいらっしゃいます。皆の憧れの的です。95歳を超えても、楽しく皆とゴルフができるように、健康年齢を重ねたいものです。