恐ろしい言葉と魔法の言葉
私が嫌いな言葉のひとつに「担当ではありません」という決まり文句があります。この言葉は、言った瞬間に他部門との連携ができなくなり、言った本人も「責任逃れをしている」とそしられる、恐ろしい言葉です。誰も幸せにならない言葉なので、私はこの言葉が嫌いです。
この言葉を使う人は、実際に担当ではない人がほとんどです。担当ではないので、当然、責任を取らされることもありません。それなのに、自己防衛本能から、デメリットしかないこの言葉を使う人のなんと多いことか。私にしてみれば非常にもったいなく思います。
客観的に考えてみてください。例えば、何か事件が発生したとします。「これは私の担当じゃない」と上司が言い切りました。それを見ていた部下はどう思うでしょうか。「上司は担当じゃないんだ。それなら上司の責任ではないな」と思うでしょうか。私は、そう思ってくれる部下はゼロに近いと思います。現実には、「この人は、逃げるんだ」と思うはずです。
逆に、上司が積極的に他部門を支援する姿勢をとったら、部下はどう思うでしょうか。「そうか、この人はどんなに自分が忙しくても、たとえそれが自分に関係ないことであっても、人を支援しようとする人なんだ」「この人は信頼できる」「この人なら何でも相談できる」「この人についていこう」と思ってもらえるのではないでしょうか。
担当でないなら、「私は担当じゃない」と心の中で言えばいいのです。口に出す最幸の言葉は、「ぜひ私にやらせてください」です。これは魔法の言葉です。言えば言うほど、部下との信頼関係は深まっていきます。