まずは信頼関係から

私の嫌いな言葉に「忙しいからできません」「いっぱい、いっぱいです」「前例がありません」「私は担当ではありません」「私は聞いていません」などがあります。これらは全て仕事をしたくないという意識が言わせている言葉です。私は、こうした言葉を聞くと、嫌気を通り越してワクワクします。
こういう言葉は、本人の捉え方ひとつで、意識を180度変えることができます。しかし、いきなりそれを本人に話しても、相手は絶対に受け入れません。なぜなら、信頼関係ができていないからです。信頼していない人の話は聞くはずがありません。
ですから、何よりも先にしなければいけないことは、信頼関係づくりです。私が今、三翠園でしていることもこの信頼関係づくりです。
さて、信頼関係のつくり方ですが、いろいろな方法があります。しかし、一朝一夕に信頼関係をつくる方法はないことを最初に申し上げておきます。
昔なら部下を毎晩飲みに誘って信頼関係をつくったものですが、今はそういうご時世ではありません。人事権をもった上司が部下を飲みに連れ出すだけで、パワハラと言われてしまいます。
ではどうしたらいいのか。私が実践していることで真っ先に思いつくのは、相手の話をよく聞くことです。
上司が部下の話を聞くと、もっといい方法を思いつくことがあります。しかし、「もっといいやり方があるぞ」と言ってしまったら、信頼関係は絶対に深まりません。たとえ、上司のアドバイスが正しかったとしても、言われた部下にしてみれば、自分が否定されたと捉えてしまいます。
ですから私は、相手の意見を聞いたら「そういう考え方もあるんだね」「なるほどね」と受け止める努力を心がけています。
ただし、あえてアドバイスや、意見を言う場合もあります。それはグループミーティングなどの場合です。その場合、私の話はその人に対してだけでなく、メンバー全員に対して発信したものになります。他のメンバーの動機付けになると思えば、時と場合によっては、その人の意見に対してアドバイスや反対意見を言うこともあります。
ただし、こうしたアドバイスや反対意見は、相手との信頼関係づくりという観点ではデメリットになります。信頼関係づくりを目的とするのであれば、たとえ、正しいアドバイスができるとしても、それを「言わない」という選択肢をもっていないと、信頼関係をつくるというゴールは、どんどん遠くなってしまいます。

※写真は大好きなお店のイカのガーリック炒め