大ざっぱな性格
母が元気な時は、よく一緒に旅行に行きました。海外に行ったこともあります。海外に行くと、いつも体感することがあります。それは、いろいろなスタッフが一様に障がいをもった人を大切にしてくれることです。しかも、それはマニュアルによるサービスなどではなく、優しさから生まれた自然なサービスです。
障がいをもった人向けのサービスで、一番ありがたかったのは、入国手続きの優遇です。一般のツーリストとは別のルートを通ります。当時、荷物検査もほとんどなかったように記憶しています。こんなことを言ったら不謹慎かもしれませんが、本当にありがたかったです。
これに関しては、ちょっとした笑い話があります。一度、母とハワイのツアーに参加したことがありました。当時、ホノルル空港が大工事をしていて、入国手続きに5時間ぐらいかかるといわれた時です。
しかし、私たちは、障がい者ルートを通りましたので、本当にあっという間に到着ゲートを通過することができました。到着ロビーに出た私たちは、「皆大変だなあ」「ラッキー!」と喜び合いました。
ところが、それはつかの間の喜びでした。いつもの性格が災いして、私は大チョンボをしてしまったのです。
こう見えて、実は大ざっぱな性格です。プライベートな旅行では、綿密に計画を立てる方ではなく、「行ったらなんとかなるやろ」ぐらいのノリで旅行するタイプです。今回はツアーへの参加なので、なおさら「皆について行けばいいだろう」と安直に考えていました。
私たちは、いち早く到着ロビーに出られたものの、どこに行ったらいいのか、どこのホテルに泊まるのか、まるでわからず身動きが取れません。
当時は、携帯電話などない時代です。添乗員と連絡の取りようがありません。結局、ロビーで、皆が到着ゲートから出てくるのをずっと待っていました。さすがに5時間はかかりませんでしたが、いつになるのかわからない皆の到着をひたすら待つはめになったのです。
その間、私たちは、いろいろな国の人が到着して、楽しげに目的地に向かって行くのを恨めしく見ていました。
※写真は2016年母と大阪へ