経営理念の共有

三翠園では、あまり急いでいろいろなことを変えようとは思いません。今の風土のいいところは大切に継承し、変えた方がいいところは、社員さんが納得した上で、少しずつ変えていきたいと思っています。

今、「ちょっと惜しいなあ」と思うことがあります。理念の共有です。三翠園には立派な経営理念と行動指針がありますが、それがあまり共有できていないように感じます。
例えば、毎朝10時からのミーティングでは、輪番で、経営理念と行動指針を読み上げてから、打ち合わせに入っています。しかし、形式的に読み上げているだけで、実践に落とし込んで行動指針を振り返ることはしていません。経営理念を具現化するには、理念に基づいた行動を習慣化する必要があります。
そこで、「すいませんが、今月は僕にやらせてください」と申し出て、理念の読み上げ当番を代わってもらいました。
それで何をしたのかというと、まず、大きな声で経営理念を読み上げ、次に行動指針を一つ読み、それに対する自分の意見を熱く語ったのです。これを1カ月続け、輪番制に戻しました。
自分の事例を交えて、行動指針を振り返れば、お互いに価値観を確認できます。こうした理念の共有を、全ての部門で継続的に取り組んでいけば、必ず理念は浸透します。
この手法は、ザ・リッツ・カールトンホテルのデーリー・ラインアップ(毎日始業前に行われるミーティング)を見習ったものです。私は、そこに一工夫を加えました。社員さんが自分の意見を語ったら、大きな拍手をするようにし、最後に、その意見について私からフィードバックをしたのです。感謝と共感のメンタリングです。
最初は、大きな拍手を受けることに慣れていなかったのか、皆さん、戸惑っていましたが、続けていくうちに拍手をする人も、される人も満面の笑顔になりました。

現在、全社員さんの面談を進めています。おいおい皆さんの思いをくみ取った行動指針に手直ししたいと考えています。きっと数年後には、価値観が共有できた素晴らしい組織になっているでしょう。それをイメージするだけで、日々ワクワクしています。