よく謝る社長
決まり切ったルーティン作業の中には、それがどんなに非合理的であっても、長年続けているうちに、当たり前になっているものがあります。
例えば、ホールのマイクに不具合があったとします。当然、ホールグループが全てのホールの備品を管理しているものだと思っていましたが、なんと1階はホールグループですが、2階はフロントグループが担当しているというのです。「なんやねんそれ!」という感じです。
三翠園の庭園で手持ち花火を楽しむという企画を実行した時も、同じような非合理性を感じました。三翠園の慣習に従えば、総務に振って、花火業者を探していただき、花火業者に提案していただく流れになるのですが、私は合理的ではないと思いました。なぜなら、総務は門外漢ですから時間がかかる上、総務がますます多忙になってしまうからです。私が社長になってしたことの一つは、何でも総務に振るのではなく、まずは当該部門の社員さんが取り組んでみて、これでいけるという段階になってから総務にバトンタッチするように流れを変えたことでした。
手配は総務で管理は現場で、というように、ことごとく担当が分かれていますので、めちゃくちゃ効率が悪くなります。組織として、非常にもったいないと思いました。理想は、シンプルに備品の管理と運用を分ければいいのだと思います。
現場のニーズをいちばん知っているのは現場です。これまでしてきたように何でもかんでも総務さんに依頼していたら、時間も手間もかかり、現場のニーズにもマッチしません。これでは総務も現場も幸せになれません。今までのルーティンを総点検する必要があります。
これは、現場の社員さんに起因する問題ではありません。むしろ社員さんは、こんな面倒くさい手順で仕事をさせられていた被害者です。
こういう非合理的な状態が漫然と続いている原因は経営にあります。経営がルーティンを改めなかったからです。社長だろうが部長だろうが、うまくいっていないこと、間違ったことがあったら、「あ、これは間違っていました。ごめんなさい」「直ちに改めます。勉強になりました」とまずは謝って、改善すればいいのです。
社員さんに頭を下げるのを嫌がる経営者をたまに見かけますが、そんなプライドのために改善が遅れてしまうのは、組織にとってもったいない限りです。ですから、私は、「よく謝る社長」を目指しています。