気になる“ある車”

私は車で通勤していますが、ホテルの駐車場はお客さまを優先にしていますので、近くの民間の駐車場を利用しています。その駐車場は3階建てです。高知県立県民文化ホールが近いため、コンサートなどの際は満車になります。1、2階は屋根があり、非常に気温が高い高知県では助かります。
私の車は車幅がありますので、ワンボックス車など大型車用のスペースにとめています。いつもは、出し入れが便利な1階を利用するようにしていますが、例外があります。それは、1階の大型車用のスペースに、“ある車”がとまっていない場合です。大型車用のスペースにいくつか空きがあるなら構いませんが、最後の空きスペースのときは、そこにはとめないで2階に向かうようにしています。
“ある車”の持ち主は脚に障がいをおもちです。車イスの方は、車の乗り降りにある程度のスペースが必要なため、空いていればどこにとめてもいいというわけではありません。私が、大型車用の最後のスペースにとめてしまったら、その方は1階にとめられなくなってしまいます。そうならないためのちょっとした配慮です。
2年間、この駐車場を利用していてわかったことがあります。それは、土日にその“ある車”がとまっていないことです。おそらく土日がお休みの会社にお勤めなのでしょう。ですから、土日は気兼ねなく1階の空きスペースにとめさせていただいています。
このように、私は1階が空いていない場合だけ2階を利用していますが、2階にも別の“ある車”がとまっていることがわかりました。
その車は小さい車で、いつも大型車用のスペースにとめていました。「なぜ、こんな小さい車なのに?」と不思議に思っていましたが、ある時、この方も車イスを利用されていることがわかったのです。その方は、2階に車をとめ、エレベーターを利用して1階に下りて行きました。何か理由があるのでしょうが、気になりだしてしまいました。
もちろん私に何かできるわけではありませんし、その人も何も望んでいないと思います。私にできることは、「今日はどうかなあ」と気遣うことだけです。今日も、その方たちの“ある車”がとまっているのを見ると、なんだか「ほっ」とします。