しなくてもいいことはしない
日々、会社の改革を進めています。ただ今、注力しているのは、総務部門のシステム変更です。総務のみなさんには大変ご負担をおかけしていますが、ここの見直しができると、全ての部門に影響を及ぼし、今までやっていたいろいろな業務が見直せるようになると思います。
これはシステム改革以前の問題ですが、まだまだ「えっ、これって何でやっているの?」という業務が残っています。例えば、現場の棚卸しです。なんと毎月やっていたのです。
「ホテル業界は、そういうものなのか?」
しかし、どう考えても私には毎月棚卸しをする意味がわかりませんでした。疑問に思い、尊敬する同業者さんに聞いてみました。やはり年1回という答えでした。棚卸しは、在庫の捉え方と管理の仕組みをつくればいいだけの話です。それなのに、現場のビニールがどれぐらい余っているのかまで細かくチェックしていたのです。これは大変な作業です。こうした「しなくてもいい」作業を、いかにして「しないようにする」のかも大事なことだと思います。
仕方なくやっている業務もあります。例えば「充て職」(兼務)です。現在、ホテル業界は、観光客が急増し、深刻な人手不足に陥っています。三翠園も例外ではありません。客室の清掃・管理部署、食器類の洗浄部署などは、特に人繰りで苦労しています。苦肉の策で、組織横断的な応援ができるように、人財の多能化を推進していますが、組織としては異常な状態だと認識しています。
急場をしのぐためには仕方のないことですが、できるだけ早急に必要な人員を確保して、部門を立て直したいと考えています。みんなが幸せでないと、「かかわる人を幸せにする旅屋」にはなれないと思います。ですから、タイミングを見計らって、みなさんが自分の仕事に集中できるようにしたいと思います。
そのような折り、久々にキレそうになる出来事がありました。問題がある部門の人と話をしていた時のことです。その人は、私がいつも使っている言葉を逆手に取って、からかうような言い方をしてきました。
「いやあ、でも困難が好きなんでしょ?」
「立て直しに来ているんでしょ?」
「わくわくするんでしょ?」
この言葉にはさすがに頭にきました。とはいえ、大声を張り上げたり、「おりゃー」と言ったりしてしまったら、パワハラでアウトになりますので、そこは冷静に、
「その言い方はおかしいよ」
「非常に不愉快に思います」
「さすがにそれは言うたらいかんで。あなたが言う言葉じゃないよ」
と、昔では考えられないぐらい丁寧な言い方で返答しました。しかし、さすがに腹が立ち、その場にいたら情けなくなるので、そう言うなりその場を後にしました。
その人は、後から謝罪してきましたが、会社の立て直しをしているこの段階で、まだ平気でそういう軽口をたたく人がいることに、驚くとともにますますやりがいを感じています。