新シリーズを始めます!

最近、ありがたいことに私のブログを読んでくださっている人の数がおっそろしいくらい増えてきました。おかげさまで、いろいろな人から「ブログ見てますよ~」と言っていただけます。
しかし、ブログのアクセス数が伸びたからといって喜んでばかりはいられません。会社の経営では、売上が伸びても利益という「果実」に結びつかなければ、その経営は失敗ですがブログも同じだと思います。一時的にアクセス数が伸びても、期待にきっちり応えられなければ、急速に期待はしぼんでしまいます。読んでくださった人に、どれだけ「役に立った」と思ってもらえるような「価値」を提供できたか、それがブログにおける「果実」だと思います。
ここ最近、メールやLINEなどのSNSを通じて、まったく知らない方からご相談を受ける機会が増えてきました。これはブログがきっかけです。少しはお役に立てるようになってきたかな、と思うとうれしくなります。
私は、幸か不幸か見た目に威厳がなく、おせっかいなくらい世話やきです。加えて、受けたご相談については、自分の経験に基づいてほとんど即答しますので、昔からご相談を受けることが多くありました。
ご相談に答える際に留意してきたことは、どんな質問に対してもネガティブな情報だけ提供するのではなく、「こういう考え方がありますよ、ああいう考え方もありますよ、メリットはこれ、デメリットはこれ、僕ならこうします。ただし状況が変わったらやり方を変えないといけないですね」というように情報提供しました。
私のアドバイスが正しいかどうかはわかりませんし、アドバイス通りにする必要もありません。あくまでも選択肢の一つとして情報を提供するようにしています。それでも情報をもらった人は、めちゃくちゃ安心するようです。「下手な鉄砲も数打てば当たる」ではありませんが、情報は多ければ多いほど安心感が増します。相談者は不安を抱えています。まずは安心してもらうことが大事です。ですから、ガンガン情報提供するようにしています。
今後は、私が受けたご相談の中で、ありがちなお悩みについて、相談者の許可をいただいた上で、Q&A形式に加工してブログに記載していきたいと思います。何かのお役に立てればうれしいです。ということで新シリーズの始まりです。早速、最初の“あるあるお悩み”です。

Q.転勤が決まり、新たな職場に責任者として赴任することになりました。どういう心構えで臨めばいいでしょうか?
A.新天地に飛び込む場合、私なら、人から教えてもらうことから始めます。なぜなら、右も左もわかりませんので、「知る」ことから始めるしかないからです。社員さんを知る、お客さまを知る、仕事を知る、業界を知る、新天地は知らなければいけないことだらけです。そして「知る」ためには、いくら高いポジションで赴任したとしても、徹底的に下から目線で「教えてもらう姿勢」を取ることが大事です。
 私は、昨年、お掃除会社からホテル旅館業に転身しました。三翠園の社長に就任して最初にしたことは「知る」ことでした。どんな人が働いているのか、どんな組織になっているのか、何が問題なのか、それらを知るためにすべての職場を回ってあいさつをして歩いたり、社員さんと個別に面談をして話を聞いたりしてきました。まだ全社員さんとお会いできていませんが、なんとしても全員とお会いしてお話をお聴きしたいと思っています。
 たくさんの人の話を聞いていくと、いろいろ気づくことがあります。さすがに「これはあかんでしょう」ということについてはすぐに対処しますが、よっぽどでないなら3カ月は我慢しました。よそから来た新参者が何を言っても聞いてくれませんし、ワンマン社長と思われてしまうだけからです。後々、最初についたイメージを変えるのは大変です。ですから、最初は、徹底して人の話を聞いて回りました。
ところが、人の話を聞くのは結構難しく、傾聴は相当意識しないとできません。傾聴とは、聞き続けることだと思います。相手の意見が出なくなるまで聞き続けます。もちろん質問されたら答えますが、基本は相手の話を聞くだけです。
今、全社員さんとの個別面談を続けていますが、1回あたりの面談時間は最大でも50分と決めています。それ以上は聞く方も話す方も疲れます。
話をお聞きする際は、大事なご意見を忘れないために、許可をもらって全部記録に残しています。面談では、話の内容もさることながら、社員さんの人間性に触れ、理解することも心がけています。

ここからは、 新天地でやりがちな“あるある失敗”についてお話しします。
中には、いい印象を持ってもらいたいがために、聞かれてもいないのに「俺はこんな人間で~」「金にきれいで、仕事に一生懸命で」「思いやりを大切にしている」などと言って回る人を見かけますが、言われた人は十中八九「うそつけ」と思います。実は、私もそう思われた一人でした。
20代の頃の体験をお話しします。そういうつもりなんてないのに、私が何を言っても悪い方にしか取らないお掃除担当の人がいました。私が何を言っても全部マイナスに取られてしまい、この時ばかりは寝込みました。腹を割って、何度も「自分はこんなんですよ」「こういう人間なんですよ」と話したのですがわかってもらえません。話し合っている時はわかったようなそぶりを見せますが、すぐ陰で全然違うことを言うのです。「他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる」(エリック・バーン:アメリカの精神科医)といいますが、他人がどう思うかは他人しだいです。こちらが何を言っても印象操作はできません。むしろ言えば言うほど逆に取られます。
「言い続ける」ことは自由ですが、それよりも「やり続ける」ことが効果的です。変えられるのは自分と未来ですから、早く結果を出して、周りの人に「あの人はこういう人だね」と陰で褒められるようにすることだと思います。
中には、面と向かって「あなたは本当によくやっていますね。ステキです。尊敬しています」と褒める人がいますが、それはうそに決まっています。何かたくらんでいるとしか思えません。逆に、面と向かって悪口を言う人は、よっぽどの親友か、よっぽどのことか、おバカさんだと思います。普通、嫌われたくないのでそんなことは言わないものです。
もし、それでも耳が痛いことを言われた時は、それは自分が誰かに嫌なことをしているということですから、その時は行動を修正しなければいけません。
逆に、私も人に対して耳が痛いことを言うことがあります。それは、会社にとって不都合なことや、いじめやハラスメントなど誰かに迷惑をかけている人がいた場合です。そういう人には、どんなに嫌われても注意しようと決めています。ダメなことを見て見ぬふりをしてうやむやにしたら、周りから「あの人は逃げる人や」と取られてしまいます。私は「逃げる人間」と思われるのが一番嫌です。自分はそうではない生き方をしてきたつもりですし、ここはきっちり守っていきたいと思います。