夢は叶う叶う!
先日、ご縁があって、私を取り上げてくださるテレビ番組に出演させていただきました。約20分間にわたって、私の思いを聞いていただけるという本当にありがたい番組でした。それは、テレビ高知さんの「ここだけのはなし」という番組です。
収録前、アナウンサーを担当する和田敦子さんが打ち合わせに来られました。参考資料として、拙著『かかわる人を幸せにするお掃除会社』を差し上げたのですが、当日、スタジオでお会いすると、お渡しした私の本が付箋だらけになっていました。こんなに熱心に読んでくださって、非常にありがたかったです。
簡単に、収録の流れなどを打ち合わせして、「さあ撮影開始!」というところでいきなりNGを出してしまいました。足首が見える靴下を履いてきてしまったのです。タレントの石田純一さんならまだしも、私ではおしゃれどころか異様にしか見えません。
急いで、テレビ局の人が近くのコンビニエンスストアまで靴下を買いに行ってくださったのですが、このために撮影が20分も押してしまいました。大変申し訳ないことをしてしまいました。見てくださる人への配慮ができていなかったことを、今でも後悔しています。
さて、収録は終盤に差し掛かりました。いろいろな思いをお話しさせていただいたところで、和田アナが突然「中澤さんには、影響を受けた先輩がたくさんいらっしゃいますが、そのお一人からメッセージを頂戴しております」と言って、サプライズのビデオメッセージを見せてくださいました。その場で初めて見た映像でした。なんと、そのビデオには、私のメンターの1人であり、大先輩でもあるネッツトヨタ南国の横田相談役が映っていました。横田英毅さんは、終始ニコニコして、私のことを「マイナス要因を全部プラスに変えてしまう、そういうところがすごい」とか、「ああいうタイプの経営者はほとんどいない」などと過分に褒めてくださり、あまつさえ「とにかくいいやつです」とありがたい言葉まで頂戴しました。思わず泣きそうになってしまいました。
私は、人に感動して泣いてもらうのは大好きなのですが、自分は人前では泣かないと決めています。泣き出すと絶対に止まらなくなるからです。感動する映画などを見たら、大泣きしてボロボロと涙が止まらなくなります。まさかテレビで視聴者にそんな姿を見せるわけにはいきませんから、必死に堪えて話を続けました。
番組の最後に、番組恒例の、大切にしている言葉を色紙に書いて紹介するコーナーがありました。私は「夢は叶う叶う」と書きました。夢というキーワードが大好きで、学校などで講演するときも夢についてよくお話しします。すると、いつも夢イコール叶わないものと思っている人が多いことに驚きます。しかし、夢は思い描けばすべて叶います。ですから色紙にそう書かせていただきました。
三翠園はコロナ禍でがんばってきました。私は、三翠園が元気になっていく姿そのものが、一つの観光スポットのようになればいいなあと思っています。三翠園には、夢のためにがんばっている社員さんがたくさんいます。ぜひ、多くのお客さまにご来館いただき、元気な社員さんたちからパワーをもらっていただきたいと思っています。そんなパワースポットにしたいと思います。
収録の後、撮影スタッフに私の経営についての考え方をお話しさせていただく時間がありました。皆さん、「すごいですね」とおっしゃってくださったのですが、私は「大変うれしいですけど、テレビ高知さんの社長さんは、僕なんかよりずっとすごい人じゃないですか」「めちゃくちゃうれしくなる人じゃないですか」と申し上げました。
テレビ高知の社長の藤田徹也さんは、高知県出身で、TBSの前身である東京放送に入社され、TBSテレビ代表取締役専務、TBSグロウディア副会長などを経て、2021年にテレビ高知の代表取締役社長に就任された方です。「映像を通じて、高知県を元気にしたい」という熱い思いがある方で、素晴らしい経営をされています。お世辞抜きで、私が尊敬している経営者の1人であり、高知ロータリークラブでも懇意にしていただいています。
「身内にこんなステキな社長さんがいることを忘れたらもったいないですよ」と申し上げたところ、「いやあ、言われてみれば本当にそうですね」となり、大いに盛り上がりました。「隣の芝生は青い」といいますが、改めて、よそ様はよく見えるものだと思いました。
こうして収録された映像は、無事オンエアされました。ありがたかったのは、いろいろな人から「見たよ」と言っていただけたことです。でも、何人かの友人からは「返答が早すぎ!」と注意されました。改めて見ると、「はい、はい、はい」と「はい」が多過ぎるし、うなずき、相づちも多過ぎます。質問されたことに早く答えたくて、人の話にかぶせまくっていました。われながら、「もっとゆっくり人の話を聞けよ」と猛省しました。傾聴の「け」の字もできていない自分の未熟さに、心がちょっと痛くなりました。「あー、まだまだやなあ」と反省しきりです。
私は、メディアからの取材依頼については、なるべくお受けするようにしています。三翠園の社長になってからはなおさらです。どうしても社長でなければならない取材は私が出ますが、そうでなければ、将来、末永く活躍される支配人やスタッフの人たちを優先して取り上げてもらいたいと思っています。なぜなら、取材を受けることが、成長につながるからです。人前で話したことは、有言実行しなければならなくなります。取材も人材育成の一環だと思います。
もう一つ私が取材に応じる理由があります。これはプライベートな理由ですが、母が喜ぶからです。母は、毎日必ず新聞に目を通します。私の記事を見つけると、記事に二重線を引いて切り抜き、仏壇に供えます。亡くなった父(創業社長)に報告しているのでしょう。お客さまに関する記事も全部切り抜いて、「清一、お客さんの○○会社さんが出ているよ」と教えてくれます。何歳になっても、母は経営者としての思いを忘れないでくれていることに、なんだかうれしくなります。新聞は見逃しませんが、テレビは事前に言っておかないと見逃してしまいますので、テレビだけは「何日の何時に出るよ」と言うようにしています。
母は、去年の暮れに高齢者施設に入ってしまいました。自分の足でトイレに行くことができなくなったからです。その母に、今回のテレビ出演の話をしたら、とても喜んでくれて、放送まで毎日指折り数えて待っていました。そして放送日、母はいつもと同じことを言いました。「お父さんが生きちゅったら、さぞ喜んだろうね」。
余談ですが、母が入居した高齢者施設は、三翠園の近くにあります。ありがたいことに、とても融通が利く施設で、昼ご飯と夕ご飯の時間、施設で一緒に時を過ごすことができます。私が行けないときは、母が寂しくならないように、姉やおいっ子が行ってくれます。私たちが顔を出すと、いつも母は喜んでくれます。三翠園で働くようになったおかげで、昼と夜に母と会えるようになりました。本当にありがたいことです。