戦わない経営
かつて、『戦わない経営』という本を読んで、目からうろこが落ちる思いをしました。著者は、経営コンサルタントであり、自ら複数の会社も経営している浜口隆則さんです。著者は、『戦わない経営』を出版された後に『仕事は味方』という本も出されています。ご縁があって、著者にお会いしたことがありますが、これらの本を書かれただけあって、それは素晴らしい方でした。
戦略とか戦術という表現があるように、経営とは「戦」(いくさ)と同じで、同業者との戦いであると思いがちです。しかし『戦わない経営』を読むと、必ずしも同業者と戦う必要がないことがわかり、肩の力がスーッと抜けたことを覚えています。
昔、四国管財に入社したての頃は、入札に応札していたこともあって、常に同業者の動向を意識していました。よそが「どうした」「こうした」ということばかりを気にしていたように思います。
同業者の中には、日頃仲がいい振りをしておきながら、いざ入札になると下をかいくぐって、仕事をこっそり取っていく業者もいました。目先の何万円かをもうけたいのでしょうが、そんなことをしていたら信用を失い、いずれ誰も相手にしてくれなくなると思います。(念の為に談合ではないですよ)
私は、いろいろ勉強していくうちに視野が広がり、同業者と戦うという意識がなくなりました。思い過ごしかもしれませんが、同業者とは仲良くやってきたように思います。
仲間内で足の引っ張り合いをしていても、誰も幸せにはなりません。そこで設立したのが「高知ビルメンテナンス協同組合」です。「うばい合えば足らぬ わけ合えばあまる」(相田みつをさん)という言葉がありますが、私は、その言葉が書かれた色紙額装を協同組合の事務所にプレゼントしました。こうあってほしいという願いが込められています。
私が四国管財の社長だった頃、絶対にしないと決めていたことがあります。それは、同業他社さんが請け負っている現場を横取りすることです。
当社は一貫してそういうスタンスなのですが、困ったことに、同業他社さんのお客さまから「四国管財に切り替えたい」とご相談されることが結構ありました。そのようなときは、必ず、「大変ありがたいお話ですが、まずは今の業者さんにもう1回チャンスをあげてください」「それでもダメならご相談ください」と申し上げて、安易にお受けしないようにしていました。
それと同時に、その業者さんに連絡をして、お客さまが不満を持っていることを伝え、「ちゃんとせんとダメだよ」と激励しました。それでもダメな場合に限って、請け負わせていただくようにしたのです。
ここまでしていたので、同業者さんに恨まれることはなく、逆に同業者さんから「当社の努力不足のせいで申し訳ない」と言ってもらえたのだと思います。
ですから、当然、同業者さんのお客さまに、安い見積もりをぶつけて仕事を横取りするようなこともしませんでした。自分たちがされて嫌なことは、自分たちもしないようにしていたのです。
相見積もりとなった場合も、「当社の適正価格はこれです」とご提示するだけです。「とにかく安くしてほしい」というお客さまは、「そういうことでしたら、当社は難しいと思います」とお断りしました。
いま、私は三翠園にいますが、三翠園も同業他社さんと戦う必要はないと思っています。
三翠園は、地元の「城西館」さんと比べられることがよくあります。もしかしたら、昔は、当社も「城西館」さんを意識していたかもしれません。しかし、私は「城西館」さんの社長さんをよく知っていますし、「城西館」さんの素晴らしい経営を見てきましたので、戦う必要など全くないとわかっています。
高知には、「城西館」さんの他に、「ザ クラウンパレス新阪急高知」さんと「ホテル日航高知 旭ロイヤル」さんという大きな会場を持つ宿泊施設があります。三翠園を含めて全部で四つあり、大きなイベントはこの四つのホテル・旅館で主にお引き受けしています。私は、このマーケットでも戦うつもりは全くありません。
それとは違う新たな路線を明確につくっていきたいと考えています。「城西館」さんの一流旅館バージョンを中途半端にマネすると、当社のあらが見えるだけです。そうではなく、三翠園の強みを生かした新しいジャンルのホテルを模索しています。
働いているスタッフが生き生きしていて、気遣いにあふれており、三翠園に足を踏み入れただけで、心が安らぎ「ほっ」とする、まるで心が温泉に入ったように癒やされる、そういうホテルを表現するキャッチコピーを思案中です。
もし、思いついた方がいらっしゃいましたら、ぜひ私にお知らせください。採用となりましたら、びっくりするくらいの温泉入浴券をプレゼントさせていただきます。
早く、全国でも珍しいジャンルのホテルにできたらいいなあと、今からワクワクしています。
以上書いていたら仲良くしてくれている心の色が見える愛さんという方から凄いコピーを頂きました。「心を繋ぐ旅屋」です。四国管財は建物を綺麗にする会社ではありませんでした「心を磨く仕事をしていました」三翠園は心が温泉に入った様に癒される旅屋にしていきます。それができる仲間がどっさりいる事も当社の強みです。