よっしゃ、よっしゃ、任せとけ!
私が四国管財に入社した当時、会社は私が幼い頃から思い描いてきた姿とはかけ離れていました。ほとんどの社員さんは、仕事に誇りを持っておらず、会社についても人に言えないような恥ずかしい会社だと思っていました。私は、それが悔しくて、「絶対にいい会社にしてみせる!」と心に誓い、いい会社を追求してきました。
たくさんの失敗をしましたが、ようやく、いい会社とは「社員さんが安心して働ける会社」であることがわかりました。
社員さんに安心して働いてもらうためには、社員さんの不安や不満や悩みなどを解決する必要があります。しかし、社員さんの相談には、同僚との人間関係、セクハラ・パワハラといった職場の問題もあれば、子どもの受験・不登校・非行・いじめ、家人の失業・解雇、心の病気、借金問題、夫婦間の問題、虐待など個人的な問題も多くあります。
私は、入社当時、上司から「個人的な問題はリスクがあるから、かかわるな」ときつく言われていました。しかし、社員さんが安心して働ける「いい会社」にしたいと本気で思うなら、社員さんの個人的な問題から目をそらすことはできません。「いい会社にします。何でも相談してください」と言っておきながら、いざ社員さんから「借金があって〜」「子どもが学校でいじめられていて〜」などと悩みを打ち明けられたら、「ごめんなさい、それは、仕事に関係ないので対応できません」と言って逃げてしまうようでは、いい会社になるはずがありません。
私は、覚悟を決めて、社員さんに「どんなことでも相談に乗るから、何でも言ってください」「どんなことでも解決するから任せなさい」と言い続けました。これは社員さんとの約束でした。
私は、四国管財の社長を退任しましたが、今でも、いろいろな方から悩み事や困り事の相談をよく受けます。そういうときは、「ああ、それなら私はこうしました」「過去の経験では、こうしたらこういう成果が出ました」と、すべて即答してあげています。即答することで、皆さんに安心してもらえるようです。それができるのは、四国管財で社員さんの相談に乗り続けた年月があるからです。数多くの相談に乗ってきたからこそ、解決するための引き出しがたくさんできたのです。
もしかしたら父も同じような思いがあったのかもしれないと思う時があります。父も、社員さんをとても大事にしていました。黒電話しかない時代に、わが家には電話が2回線ありました。いろいろな人が父に相談の電話をかけてくるからです。発信するための電話と、受信するための電話が必要でした。いつも父は電話で「わっははは」と笑っていました。よくみんなから「笑って、すべて解決したね」と言われたほどです。
父は、人から相談されると「よっしゃ、よっしゃ、任せとけ」と言って、相談者を安心させていました。人の困りごとに対応している父の姿を見て、「社長ってこんなことができるんだ」と思ったものです。その時の父は、決して偉そうではなく、腰が低かったことを覚えています。そんな父の姿がカッコよくて、自分も社長になろうと思ったものです。
私は、ご縁があって三翠園で再び社長になりました。毎日、三翠園のお稲荷さんに頭を下げて参拝してから、「よっしゃ、よっしゃ、任せとけ」と社員さんを励まし、安心してもらっています。