他人さえよければいい
人には持って生まれた性質があります。
私にとってのそれは、「他人さえよければいい」というものです。
物心がついた頃から、どうがんばっても「自分さえよければいい」とは思えないのです。
これは、よくいう「利他の精神」とは違って、他人のために何かをしてあげようという崇高なものではありません。単に、他の人ががまんしたり、つらくなったり、困ったりするのを見るのが耐えられないだけです。
もっとも耐えられないのは、他人の不幸と引き換えに、自分の幸せを得ることです。
例えば、5人で旅行していたとします。観光船に乗ろうとした時、あと4人しか乗れなかったとします。その場合、私は迷わず「僕は、何回も乗っているからいいです」と即答します。
お料理でもそうです。名物料理を5人で食べに行ったとします。しかし、お目当ての料理はあと四つしかありません。その場合も、「ああ、もう僕はいいです。その料理は食べたことがあるし、今日はこっちの料理を食べてみたいから」などと、何かしら理由をつけて速攻で辞退します。
なぜ速攻なのかというと、モタモタしていたら、ジャンケンになるかもしれないからです。もし、ジャンケンで勝ってしまったら、(運がいいので多分勝ってしまいます)誰かががまんすることになります。その誰かに遠慮して何かを食べても、全然おいしくないし、楽しくもありません。すごくイヤな気持ちになるだけです。そんなイヤな気持ちになるくらいなら、自分ががまんしたほうがどれほどマシなことか。
他人から見れば、このような性質はソンな性質に見えるかもしれませんが、私にとっては、自分が満足するためにしているだけのことで、そのほうが心地よく、幸せな気持ちになれるので、それもいいかなあと思っています。